今だから明かす“日本シリーズ指笛騒動”“9月の不調”…DeNA東克樹・独占インタビュー「勝ち星より大事なもの」「3年やってこそ」のエース哲学
日本シリーズ進出を信じて
ファイナルステージは絶望と診断され、落ち込んでいる暇はないと東はリハビリに集中した。 「最短で戻ってこられるように、トレーナーさんにはいろいろと動いてもらって本当に感謝しています。日本シリーズに進出してくれると信じていましたし、投げられる目途も立っていたので、とにかくその日に合わせて逆算して治療やトレーニングにあたりました」 願い通りチームは日本シリーズに進出。東は2連敗後の第3戦のマウンドに立った。負けられない試合、心の中ではいろいろな思いが渦巻いていた。
世間の下馬評をひっくり返したい
「僕の中では世間の下馬評というか、やっぱりソフトバンクだよなって声が多かったので、それをひっくり返したいなって。これでベイスターズが日本一になったら面白いし、あの試合で何とか勝てば、流れが変わるんじゃないかと期待しながら投げていたんです」 結果、10安打を浴びながらも、要所を締める東らしいピッチングで7回1失点、チームを勝利に導いた。打線も息を吹き返し、ここからチームは4連勝して頂点へ立つのだが、東はエースとしてゲームチェンジャーの役割を果たした。 「シリーズが終わってから、いろいろな方に『東の投球で流れが変わった』と言われましたし、僕としては怪我から復帰して、チームの勝利に貢献できて、うれしかったです」 そう言うと東は顔をほころばせた。この試合では話題になった“指笛騒動”もあり、東は自らSNSで発信し状況説明をした。シーズン中には異例の行動ではあるが、真意を伝えるとともに、自分のことでまだ戦いが残っているチームの集中を切らしてはいけないという東の配慮でもあった。 「あれは何か評判が良かったみたいで、安心しました(笑)」
3年やりきってエース
ピッチング内容はもちろん、言いたいことをしっかりと伝えることのできる人間性。やはり東がDeNAのエースだなと思わずにはいられない。 「ただ、3年やりきって本当のエースだと思っているので、来シーズンはすごく重要になってくる。だからこのオフや、来年の春季キャンプの過ごし方が大事になるので、修正すべき部分をしっかりと修正していきたいと思います」 意識はすでに来季へ。絶対安心、安定、信頼のサウスポーがどれだけスケールアップしてマウンドに立つのか。やり残した仕事である27年ぶりのリーグ優勝に向かい、いかにしてチームをけん引してくれるのか、今から楽しみだ。
(「ハマ街ダイアリー」石塚隆 = 文)
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