今だから明かす“日本シリーズ指笛騒動”“9月の不調”…DeNA東克樹・独占インタビュー「勝ち星より大事なもの」「3年やってこそ」のエース哲学
試合を作ることに特化しよう、と
他にも気にしていた数字は“K/BB”だったという。K/BBは、奪三振と与四球の比率で、投手の制球力を示す指標だ。一般的には3.5を超えると優秀と言われているが、東は今季、5.19という高い数値を残している。四球が少なく、ここぞという場面で三振が取れる。そんなシーンを今季幾度となく見てきた。 とにかく東の優れた点は、安定して試合を作れるところだろう。ランナーを出しても、要所で抑え、相手にリズムを渡さない。2018年の新人王を獲得したときのような150キロを超える圧巻のストレートはもうない。トミー・ジョン手術を経て、球速のアベレージは145キロと落ちたが、ベース盤の上で強い球威のあるストレートと、チェンジアップやスライダーを制球よく巧みに組み合わせる安定した投球術は、見る者を唸らせた。調子の波が乱高下しないところが東の最大の武器だ。 「調子がいい日も悪い日も当然あるんですが、その日のコンディションの中でいかにやっていくのかを考えていましたね。僕は打者を圧倒するようなタイプじゃないんで、試合を作ることに特化しようって。そこは僕は僕なりのスタイルがあっていいと思っているんで」
今永とバウアーが抜けて
試合を作る意味でも、もちろんQSにもこだわりはある。 「やっぱりベイスターズの打線は強力だと思うので、しっかりQSできれば試合になるのかなとは思いながら投げてきました」 ではメンタルはどうか。昨季、チームにいた今永昇太とトレバー・バウアーが抜け、東に掛かる期待は過去最大のものとなった。そう問うと、東は落ち着いた口調で言った。 「やっぱり勝手に周囲の期待は感じていましたし、その中で結果で示さなければいけないという責任、立場であることは理解していました。ただ過剰に反応すると、やっぱ動きに影響すると思ったんで、僕としては今永さんやバウアーがいたときのように、僕は僕のことを精一杯やった結果、チームにいい影響が出ればいいなと思ってやってきましたね」 泰然自若。自分のベストを尽くすことで、周囲に姿勢を示していく。 開幕からコンスタントに結果を出してきた東だが、気になったのは勝負どころの9月に苦しんだことだ。
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