『極悪女王』で話題の全日本女子プロレスはすべてが「規格外」だった 元東スポの柴田惣一が明かす人気とその裏側
――1980年代の全日本女子は2リーグに分かれていた記憶があります。ジャガー横田さんとライオネス飛鳥さんらのAチーム、デビル雅美さんや長与千種さん、ダンプ松本さんらのBチームといったように。 柴田:試合数もすごかったけど、それ以上に「興行をやってくれ」という話がどんどんくるわけですから、2リーグなら単純に儲けも2倍になりますからね。ただ、チーム編成には苦労したんじゃないかな。 【規格外の世界から広がった日本の女子プロレス】 ――全女には、「酒、タバコ、男」という"3禁"がありましたね。 柴田:お酒はそれなりに飲んでいたレスラーもいたようですけど、タバコは「肺によくない」と、けっこう守られていたそうです。男性関係に関しても問題が起こらないように、ということだったようですが、今ではパワハラ、モラハラなどと言われるでしょう。そんな言葉はなかった時代ですが、当時はリング内外ですごかったですよ。 ――どんなことがあったんですか? 柴田:「リング上の所作がよくない!」「練習中の態度がよくない!」といったように厳しく指導されていたらしいです。言葉に加えて、多少の体罰も......。言いようによっては「精神力を鍛える」ということでしょうか。 そういえば、目黒駅近くに全女を応援してくれる喫茶店があって。若い選手には安くしてくれたり、いろいろサービスしてくれたんですけど、そこにお客さんが自由に書くノートが置いてありました。私も実際に見たことがありますけど、ほとんどが「ケーキが美味しかった」といった内容のなかに、若いレスラーたちの愚痴や先輩の悪口も書いてあったようです(笑)。その犯人捜しもあったようですね。 ――練習も厳しかったでしょうね。 柴田:練習は受け身やブリッジなど、基礎体力作りばかりだったようで、「技は試合で(先輩レスラーを見て)覚えろ」と。受け身に関しては、前、後ろ、横、回転とさまざまありますが、それができないと後頭部を痛めて大ケガにつながりますからね。そこは男子も女子も一緒で準備はしていたんですが、技はなかなか教えてもらえなかったようです。