高校バスケで存在感放った留学生たち 日本で何を学び、何をもたらしたのか…当事者に聞いた本音【ウインターカップ】
SoftBank ウインターカップ2024
バスケットボールの第77回全国高校選手権「SoftBank ウインターカップ2024」は29日まで東京体育館で行われ、女子は京都精華学園が、男子は福岡大大濠が優勝した。今大会も存在感を発揮したのがアフリカなどから来た留学生たち。彼らは日本で何を学び、チームメートやライバルに何をもたらしたのか。当事者たちに本音を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大) 【動画】「この留学生ほんとに尊敬」 負傷退場後に日本語を叫ぶ高校バスケの留学生動画 ◇ ◇ ◇ 「帰りたい。お母さんに会いたい」 大会最多得点&リバウンドで慶誠を熊本県勢初の女子準優勝に導いたロー・ジョバ(3年)は1年生の頃、泣き言を繰り返した。セネガルから来日。当初は「痛い」と「ありがとう」しか日本語を知らなかった。「メンタルがベイビーみたいだった」。文化の違いでチームメートと衝突。言葉の壁で誤解も招いた。3年間をともにした主将の岸希(3年)は「ぶつかることや喧嘩も多かった」と振り返る。 異国での新生活。「慣れたら大丈夫」という母の言葉を信じ、ジョバはなんとか馴染もうと努力した。仲間との会話でわからない言葉が出てきたら積極的に聞き、大好きな映画も日本語の教材とした。そんな意欲に打たれた岸も「上手く言葉が伝わらなくても逃げない。私が逃げたら距離が離れてしまう」と向き合うことを決意。岸らの助けもあり、ジョバは日本語で取材対応ができるまでになった。 もう「帰りたい」と思った日々は遠い昔。日本での3年間で自立心を養い、一番成長できたのは「メンタル」だと胸を張った。一方、外国人との交流は岸らの視野も広げた。 「ジョバが来てビックリしたのは、やっぱり日本人は人の前で失敗するのが恥ずかしいという気持ちが大きいと思うが、練習の中で『わかる人?』と聞かれた時も、(ジョバは)自分から積極的に声を出したり、意見したりしていた。失敗を恐れないという気持ちはジョバに凄く教わった」 本音をぶつけ合い、お互いが「姉妹のよう」と口を揃えるほどの固い信頼関係を築いた2人。ともにベスト5に選出され、表彰台で笑顔を並べた。 慶誠を破り、3連覇を果たした京都精華学園もナイジェリアからの留学生ユサフ・ボランレ・アイシャット(3年)がインサイドの柱となった。一貫校の中学時代からともにプレーしてきた橋本芽依(3年)は「最初はコミュニケーションや言語の面でぶつかり合ったり、喧嘩してしまった部分も沢山あった」と回顧。「いい意味で主張が強い」というアイシャットと根気強く意見を交わし続けた。 言語も違うし、文化も違う。それでも諦めず、最後まで気持ちを理解し、伝えようとした。「学びになったし、改めて人とコミュニケーションを取るのが大事だなと留学生と話していて強く感じた」。意思疎通の難しさと大切さを知った。