【矯正医が警鐘】マウスピース型矯正は「魔法の装置」ではない ワイヤー矯正との比較や選ぶ際の注意点
装置が「目立たない」「取り外しができる」と人気の高いマウスピース型矯正ですが、その一方で、近年は安易な治療によるトラブルも増えています。ワイヤー矯正とマウスピース型矯正、実際のところどちらを選ぶのが利点は多いのでしょうか。 そこで、ワイヤー矯正と比較したマウスピース型矯正のメリット・デメリット、治療を選ぶ際の注意点などをかすや矯正歯科の糟谷先生にお聞きしました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
ワイヤー矯正とマウスピース型矯正を徹底比較 「仕上がり」「治療期間」「治療中の痛み」にどんな違いがある?
編集部: はじめに、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正の装置の違いや特徴を教えてください。 糟谷先生: ワイヤー矯正は「ブラケット」という装置を一つひとつ歯の表面に接着剤で貼り付けて、そこにワイヤーを橋渡しのようにして装着します。いわゆる従来型の矯正装置で、ワイヤーの滑りや摩擦を利用して歯を並べる方法です。 これに対し、マウスピース型矯正はあらかじめシミュレーションした歯の動きにあわせてマウスピースを複数枚作製します。それを1日20時間以上装着し、1~2週間ごとに新しいマウスピースと交換しながら歯を動かしていきます。 編集部: 両者の「仕上がり」に違いはあるのでしょうか? 糟谷先生: ワイヤー矯正は治療法がすでに確立している一方で、マウスピース型矯正はいまだゴールの基準が明確でなく、その評価も難しいのが現状です。 専門家レベルでいうと、マウスピース型矯正は症例を選ぶ必要がありますし、ワイヤー矯正ほど綺麗にならないケースも多くあります。 編集部: 治療期間はどうでしょうか? ワイヤー矯正とマウスピース型矯正で何か違いはありますか? 糟谷先生: これも「どこまで治すか」によって異なりますが、ゴールが同じであれば両者で治療期間の差はありません。「マウスピース型矯正のほうが早い」という話もよく聞かれますが、矯正を専門的に診てきた者から見るとどちらも同じ治療期間が必要だと考えます。 ただ、歯を抜かない軽度な歯並び矯正では、マウスピース型矯正のほうが早い場合もあります。 編集部: 治療中の痛み(歯が動く時の痛み)はどうでしょうか? 糟谷先生: 基本的に、マウスピース型矯正のほうが痛みは少ないようです。マウスピース型矯正は歯の動くスピードも緩やかなので、新しい装置に交換した日は多少の痛みを感じても、次の日には治まっていることがほとんどです。 これに対してワイヤー矯正は装置を調整後、3日から1週間ほど痛みが続く場合があります。