「ドレイクの方程式」の修正案が提出される 私たち人類は “ひとりぼっち” なのか?
■天の川銀河の中にある文明の数は最大でも2万
前章の理由から、Stern氏とGerya氏は、ドレイクの方程式のfiを「foc(大きな大陸と海洋を持つ居住可能な惑星の割合)」と「fpt(プレートテクトニクスが5億年以上継続する惑星の割合)」の積で表すことを提案しました。 focとfptは、現在の惑星科学の知見でもある程度の値をそれぞれ推定することができます。両氏は、小さなものから大きなものまで様々なサイズの岩石惑星が形成される割合や、その惑星が保持する水などの物質の量、プレートテクトニクスに重要な熱の総量を考慮して、focを0.0002~0.01、fptを0.17未満であると推定しました。 この推定値の場合、focとfptの積で算出されるfiの値は0.00003~0.002となります。つまり、惑星に誕生した生命が知性を獲得する確率は0.003~0.2%ということになり、従来の1~100%という推定値よりも大幅に小さくなります。「L(文明が恒星間通信を維持する年数)」の値が400年から780万年であるとする最近の推定値を代入すると、天の川銀河の中にある文明の数は最大でも2万であることになります。最も悲観的に考えれば、天の川銀河の中にある文明の数が1つしかない、つまり私たちがひとりぼっちである可能性も最大で0.04%の確率であり得ることになります。 Stern氏とGerya氏は、人類が今のところ地球外文明とコンタクトできていないというフェルミのパラドックスの解決策として、今回の研究結果を提示しています。もちろん、これは不確実性の高い推定値であるため、もっと大きな値、あるいは小さな値の可能性もあり得ます。 なお、今回の研究では幾分か良い数値も算出されています。たとえ恒星間通信を行えるほどの文明は存在しないとしても、惑星上に生命、大陸、海洋、プレートテクトニクスの4つが揃っている惑星の数は、ドレイクの方程式と同じような考えで概算ができます。Stern氏とGerya氏は、そのような惑星は天の川銀河全体で500個から約100万個の範囲内にあると推定しています。これほどの数が期待できるのならば、将来の太陽系外惑星の探査で、地球とそっくりな惑星が見つかるかもしれません。 Source Robert J. Stern & Taras V. Gerya. “The importance of continents, oceans and plate tectonics for the evolution of complex life: implications for finding extraterrestrial civilizations”. (Scientific Reports) Amanda Siegfried. “Geoscientists Dig into Why We May Be Alone in the Milky Way”. (University of Texas at Dallas)
彩恵りり / sorae編集部