うつ病になったことがある人とない人 食生活はどう違う？…栄養のキーワードは「さあにぎやかにいただく」
教えて！ヨミドック
病気や健康の疑問に、読売新聞の医療サイトのキャラクター、ヨミドックが答えます。今回のテーマは、「食生活とうつ病との関係」です。 【図表】うつ病にならないためにやめておきたい七つのこと
Q 最近、心が晴れない。ご飯を食べないことも……。 ヨミドック 心がつらいと食欲も落ちがちですが、食事は、体の健康だけでなく、心の健康とも関連していることが分かってきています。
Q え、直接の関連が？ ヨ 脳の神経細胞は、神経伝達物質という化学物質で情報をやりとりします。心の安定をもたらす「セロトニン」、やる気や興味を引き出す「ドーパミン」、集中力を高める「ノルアドレナリン」などがあり、心の状態を左右します。 実は、この神経伝達物質の原料は、食事で取るたんぱく質から分解された「必須アミノ酸」で、私たちの体内では作り出せません。心の健康には、肉や魚、乳製品、大豆製品などの良質なたんぱく質を取ることが大切です。 Q 食事が原料なのか。 ヨ さらに、神経伝達物質ができるまでには、様々な栄養素も必要です。鉄やマグネシウム、亜鉛などのミネラル、ビタミンB6やC、葉酸といったビタミン類が欠かせません。野菜や果物、納豆やレバーなどで、できるだけ多様な栄養素を取ってほしいですね。
Q 食のバランスが大切？ ヨ その通り！ うつ病の人には、葉酸やビタミンDの不足が多く見られるなど、栄養素と心の健康の関係を示す調査は数多くあります。バラエティーに富んだ栄養素を取るため、頭文字を並べた合言葉「さあにぎやかにいただく」を覚えておきましょう。 Q 献立に気をつけよう。 ヨ 食べ方に注目する研究もあります。例えば、国内1万人以上を対象にした2018年の調査では、うつ病になったことがあると答えた人は、そうでない人と比べて、朝食を毎日食べる人が少ないという結果が出ました。朝食を含めて3食取ることは、栄養が豊かに取れるほか、体のリズムを整える働きがあると考えられます。ほかに、孤食が多いと、うつ病のリスクが上がるとの報告もあります。 Q もう朝食は抜かない。 ヨ 心の栄養だと思って、できるところから食生活を見直してみてはどうでしょう。 精神医療の現場では、薬物療法や精神療法と並んで、食事や睡眠、運動などの生活習慣の改善には、治療や予防の効果があるとされています。食事の相談や助言をする管理栄養士が活躍する医療機関もあります。（影本菜穂子、取材協力＝功刀浩・帝京大学教授、阿部裕二・国立病院機構東京病院栄養管理室室長）
