すれ違う「80代の親」と「50代の子」お互いの言い分、いつの間にか形勢が逆転しているのは当たり前
■財産でもモノでも「自分の領域」は断固として守る 「そんなことをしたら危ない」と言うのは、危険な目に遭わせたくないという心配からきている小言ですから仕方がないかもしれませんが、お金の使い方にまで口出しするのはいかがなものか。 あなたの築いた財産なのですから、常軌を逸した使い方でないかぎり、小言を言われる筋合いはありません。 友人関係もそうです。ご自分の領域に踏み込んでくるようなら、断固論戦というけんかをしてください。けんかを恐れて、黙っていたら考えは伝わりません。大いにけんかして、たまに「ありがとう、ありがとう、ありがとう」などと感謝の気持ちを示して、バランスをとればいいのです。
世代の違いなのか、モノがたくさんあるのを嫌う風潮があります。同世代の友人たちに聞くと、モノを捨てろと言う娘さんが多いようです。「断捨離」というのがブームで、家に何もない空間を作るのがはやりのようです。 でも、モノには人の記憶が詰まっています。私は、仕事柄、書籍や資料の入った段ボールが、普段使うこともないのに家に放置されています。 娘に「この荷物どうするの」と厳しく言われますが、「どうもしない!」と開き直っています。
スカーフやアクセサリーなども溜まっているのですが、スカーフを取り出して、「そういえばこれは、必死に働いてお金を貯めて、連れ合いとイタリアにオペラを見に行った時に買ったんだった」などと思い出がよみがえってきます。ヨタヘロになって、外出することが少なくなると、こういったイメージで遊ぶのも楽しみになります。 モノは思い出の扉を開くカギだから、「下手に捨てたら、ボケるかもしれない」と言って説得しましょう。脳医学者の瀧靖之先生によれば、脳には「主観的幸福感」が大切だそうです。ですから思い出遊びで幸せな気持ちになるのは、実によいことなのです。
家族など身近な人は親がボケることに潜在的な恐怖があるので、これは効きますよ。 他の人には、価値がないと思われるモノでも、当人にとっては、価値があると思っているモノもあります。むやみな「断捨離反対!」。 ■一昔前なら「孝行息子さん」とは思いますが… 80歳になりました。連れ合いが入院後のリハビリ中に、私が脳梗塞を起こし、1人では起居ができなくなりました。このままでは夫婦共倒れという状況を見かねて、50代の1人息子が、会社を辞めて介護に専念しようかと言ってくれています。