“日本一頭が良い女子校”から「大学を四留→中退→フリーター」に…“学歴で挫折した”24歳女性の現在地
市販薬250錠あまりを口に含んで…
人間関係がうまくいかず、学校でも思うように課題をこなせない。なりたいものを見つけても、そこに至るまでのハードルが高すぎる。絶望的な閉塞感を抱え、冒頭で紹介した通り、ぺろぴーさんは自殺企図をする。 「市販薬250錠あまりを口に含んで、水で流し込みました。たぶん1日くらい昏睡していたと思います。しかし目覚めてしまって、『この方法では死ぬことができない』と思い自分で救急車を呼びました」 搬送先の病院のICUで1日過ごし、その後、ぺろぴーさんはかかりつけの精神科へ運ばれた。当時はカルテに「奇声・興奮」などと書かれるほどの状態であり、大きな声を張り上げて何かを叫んでいたことを自身で記憶しているという。その微かな記憶のなかに、印象的な一幕があったと話す。 「鎮静剤を打たれて徐々に落ち着いてきたとき、看護師が『どうしてこんなふうになっちゃんたんだろうね』などと話をしているのが耳に入りました。おそらく私の経歴などをみたのでしょう。もうひとりの看護師が『あぁ、桜蔭から横国だからじゃない?』と納得したように言ったんです。学歴で挫折してトチ狂ったように、彼女たちにはうつったのかもしれません」
「特性をもつ子どもたち」が安心して学べる環境を
精神科医になる夢を諦めたぺろぴーさんだが、現在もなお目標地点は変わっていないと話す。 「発達障害がある場合は、特性そのもののつらさに加えて、二次的な問題を引き起こしやすいと私は思っています。たとえば、提出物の期限に間に合わないことによって幾度も教師から叱責され、いじめの対象になるなどの例が想像できます。特性をもつ子どもたちが安心して学べる環境づくりができるように、私はこれから教育心理学を学び、そうした場所が提供できるように努力したいと考えているんです」 ===== 日本一の女子校の看板は重い。人生がうまくいかなければ、見知らぬ他者にまで道程を邪推され、好奇の目で見られる。学力がどれほど高くても生まれ持って凸凹のある人間は存在する。強者に見える人間の弱さを推察できる社会になるといい。ぺろぴーさんの挑戦はその礎にきっとなる。 <取材・文/黒島暁生> 【黒島暁生】 ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
日刊SPA!