<引退前に若い人へ頭を下げ慣れておくべき>と71歳プロダクトデザイナーが断言する理由とは?「年齢なんてただの記号にすぎず…」
◆「何もない」状態だった若い頃 もし神様に「あなたを20代に戻してあげる」と言われても、わたしは断るでしょう。そして「20代ではなく、50代をあと30回経験させてください」とお願いします。 それぐらい若い頃は自信もないし「何もない」状態でした。 大学に入れたのも、就職も、恋愛も幸運に恵まれただけ。 こんなラッキーをもう一度手に入れるのは不可能だろうと思っています。 それぐらい、パッとしていた記憶がないんです。 今の若い人たちも、内心「パッとしていないなぁ」と悩んでいるかもしれません。 若さを妬んだり羨んだりする前に「そんなもんだよねぇ」と同感してあげることが善ではないでしょうか。 さらに言うと、あなたがもし引退前なら。今から身近な若い人に敬意を持って接して「頭を下げ慣れておく」というのは有効な手段でしょう。 具体的に言うと、「さん」付けをして、挨拶の際などに頭を自然に下げるのです。「頭を下げたくない」などと意固地になる前に、ぜひ一度お試しください。 相手についても、自分についても、年齢なんてただの記号にすぎません。「いつも“今”が面白い」と感じていきませんか。
◆「年寄り」にはなれても わたしは自分で自分を「ズルいやつだなあ」と思います。 何がズルいかというと「今」という時代と常に仲良しであることです。 過ぎ去った特定の時代を「あの頃は良かった」とは一切言いません。 正直なところ、過去のどの時代とも「仲は悪くなかった」けれど「殊更仲良しでもなかった」気がします。だから過去への執着も、若さへの羨望もないのでしょう。「今、ここにいる自分」がすべてです。 そう思わないと、次の世代に申し訳が立ちません。「あんな大人になりたい」という姿を体現するのが、わたしたちの努めでしょう。 ここで言う「大人」とは、次の世代を育てる意識がある人に許される“賛辞”としての言葉であり、どこまでいっても「本人」が使う言葉ではありません。 人は「年寄り」にはなれても、「大人」には簡単になれないのです。 ※本稿は、『60歳からの人生デザイン - 手ぶらで、笑顔で、機嫌よく過ごすための美学』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
秋田道夫
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