パンクの心配もなし!サステナビリティと安全性を両立させた次世代タイヤ「AirFree」が秘める大きな可能性
ゆっくりと短距離の移動に価値を見いだす「グリーンスローモビリティ」
「グリーンスローモビリティ」とは、時速20km未満で公道を走ることができるEV車を活用した小さな移動サービスで、その車両も含めた総称を指す。 「グリーンスローモビリティ」の名付け親で、グリスロに関する調査・研究を行っている、東京大学 三重野真代准教授がグリスロの魅力や価値について語った。 現在は移動の形が多様化されており、従来型の大量高速輸送が求められる公共交通だけでなく、高齢者の増加やワークライフスタイルの変化による地域内の短距離移動、観光地におけるツーリスト向けの短距離移動のニーズが増えている。グリスロはこうしたモビリティの多様化の中で生まれた。 時速20km未満で走行するEV車は、ゴルフカートタイプとバス型タイプがある。ゴルフカートタイプは開放感があり乗降しやすいので景色を楽しむ観光にも向いており、バス型は座席を対面にすることも可能。 普通免許で運転ができるので(※11人乗り以上の車両の場合は中型免許が必要)、長く歩くのが困難な高齢者の日常生活の足や、観光周遊といった地域内単距離移動に最適な交通手段となる。 「グリスロは中途半端な乗り物ではないかと言われたこともあります。数百mから2~3km程度の距離を、自転車程度のスピードで、地区内しか移動しない。乗り合いにしてもどんな使われ方をするんだ?と疑問に思う方も多くいます。 運転免許を返納したり、歩行が困難になった高齢者、観光地で歩き続けるのは疲れるといったニーズに対応するのがグリスロです。コミュニティバスや乗り合いタクシーよりもさらに先の場所である地域交通のラストワンマイル、今まで元気だったときは歩けたところに対する乗り物なのです。 グリスロの走行実績は2022年度末現在(国土交通省調べ)で全国130自治体、うち38地域で本格運行が始まっています。現在では50地域ほどで本格運行に入っています。 グリスロは地方の乗り物だと思われがちですが、地方部だけでなく東京都内各所でも運行や実証実験を行っており、来月からは杉並区が運行を始めます。各メディアでも取り上げられ、全国的にも注目されています」(三重野氏) グリスロにはメリットが多くあり、そのひとつが今までになかった移動手段であるということ。小型のコミュニティバスでも入れなかった狭い道でも走れる、ドライバー不足が問題になる中で、高齢者も運転しやすいグリスロは地域の人がドライバーを担うことができる、開放的な乗り物であるため観光客用の料金が取れる付加価値が生まれるといったメリットがある。 またグリスロはガソリンを使わないEV車を使用するため、静かでにおいもなく、空気が清潔という環境面でのメリットや、ガソリンスタンドがない地域でも使える利点もある。 「人と車の関係性を考えたとき、時速40kmの車が通れば止まるのは人です。時速30kmだと車と人の関係がほぼ対等になります。時速20kmといえばマラソン選手と同じスピードで人が出せる速度ですから、歩行者がいても車が人を見て止まることができます。つまり、時速20km未満は、車中心から人中心に転換できる速度なのです。こうした安全面からも、自動運転の車両でグリスロを使っているケースが多くなっています。 さらにグリスロの最大のメリットはコミュニケーションツールとしての機能です。車内でドライバーと乗客が話をしたり、写真を撮ったり、車外の歩行者ともコミュニケーションできます。ドライバー不足だと言われている中でもグリスロのドライバーは、お客さんと楽しく話をしながら感謝される仕事だと、積極的にドライバーを希望される方もいます。グリスロはコミュニケーションがいろいろな形で発生する“乗って楽しい公共交通”と言えます」(三重野氏) 一方、グリスロの課題として車両価格の高さ、速度差が大きいため一般の車両が多い大きな道路では走れない、冷暖房がなく乗り心地も含め車のような快適性がないといった点が挙げられる。 「従来のバスや自動車と同じ使い方ができないことや、便数や乗車人数も少ないため採算性の面でも課題はあります。それらに関しては、SDGs・脱炭素の価値、観光や生業、買い物や福祉といった、まちの装置として多くの人に共感してもらえる使い方をすることで、収支の改善につながる仕組みを作っている自治体も多くあります。 AirFreeについてはグリスロの観点からも大きな期待が持てます。グリスロは山間地や離島など道路状況が整っていないところも走っていますので、パンクレスはまさにグリスロの特性に合ったタイヤです。 また、視認性の高い青色のデザインや安心安全だけでなく、動く景観といえるグリスロのモビリティとバランスよくマッチしてデザイン性を高めてくれます。 サステナブルで安全、低速といった面もグリスロの特性と合致しますので、サステナビリティの観点からもグリスロの価値を高める先導となり得るタイヤであると期待しています」(三重野氏)