役者・田野優花の現在地 AKB48卒業から時が過ぎて見えてきたもの
田野優花(たの・ゆうか)は2019年のインタビューで「(AKB48を)卒業してから自分がどんな立ち位置にあるのか見つけられていないし納得できていない。こうでありたい、って自分の思いと現状が合っていなくて悩んでいます」と心境を明かしてくれた。あれから3年。“立ち位置”は見つけられただろうか。田野に聞いた。 【写真特集】看板娘お仙ちゃんになった田野優花
あの頃は生き急いでいた
田野は2011年AKB48第12期研究生オーディションに合格しグループ加入。13年にじゃんけん大会で7位、自身初の選抜メンバーとなる。その後17年公開『リンキング・ラブ』で映画初出演にして初主演を務めた。そして18年にAKB48を卒業しソロ活動に入った。前回のインタビューはソロになって1年ちょっとが過ぎた頃に行われた。 「あの頃は生き急いでいたというか。グループにいると自分は自分だって思いながらも比べられることに慣れすぎて、勝手に『あの子はああなのに私は…』って気にしちゃっていた部分があって。私はグループにいても自分を持って活動できていたように思っていたのですが、やっぱり人間だし年頃だったし」 そう話し始めた田野は3年前よりも表情がやわらかい。 「だから卒業して肩の力が抜けてもしばらくは他の卒業メンバーのニュースを見ると『ああ、あの子こういう作品出てるんだ』ってやっぱり気にしちゃっていた部分があったんです。今もそれはゼロになったわけではないですけど、3年前にインタビューをお受けしたときよりはぜんぜん気にしなくなりました。自分が出たいと思っている舞台に立っている子を見ると私もがんばらなきゃな、とは思いますけど。ただスケジュール的にも『いま田野ちゃんって何してるの?』的な状況ではなくて、ちゃんとしたスパンでファンの方に作品をお届けできている環境にあることがすごく嬉しいんです」
アイドル時代よりもアイドルしている?最新作
今回、またひとつ夢がかなった。時代劇への出演だ。上村侑主演の映画『近江商人、走る!』(12月30日公開)でお茶屋の看板娘であるお仙を演じるが、この役から学んだことは多いようだ。 「思ったより早く時代劇に出ることができてめちゃくちゃ嬉しいです。お仙は勝ち気で男勝りなので所作はそれほどおしとやかにせずにできましたが、台本を読んで、ただ強いだけのお仙ちゃんじゃないなと思ったので、気の強い女の子から出るちょっとした愛くるしさ、垣間見える『可愛らしいじゃん』みたいなところは意識しました」 劇中にはなんと、アイドル時代を思わせるライブシーンもあるとか。 「着物がとにかく重たくて袖の捌き方が難しいし扇子も持ってるし、髪の毛も長いポニーテールのつけ毛でしたし、体力的には大変でしたけど、コンサートの場面はアイドル時代よりもアイドルしているんじゃないですか。私、MV撮影とかでウインクなんてしたことないのに今回はしてるんですよ。予告編でも(笑)」 滋賀県でのロケでは琵琶湖周辺の美しさにも感激したという。 「めちゃくちゃきれいでした。琵琶湖はほんとに海のように広くて。この映画を観た人はみんな滋賀に行きたくなるんじゃないかと思います」 お仙役に関しては素の自分に近い部分があって、それほど役作りをする感じではなかったという。 「私もお仙のように気合い入るところは入る部分があって、アイドル時代は他のメンバーに喝を入れることもありました。あとは情に厚いところ。一度裏切られた人間を、裏切られたからって『もういい、絶対会わない、嫌い』じゃなくて、ちゃんと会って目を見て話して、大丈夫ねって。あなたのこと信じるよ、って。それで私失敗したことまだないので。そのようにしていたら、いつの間にかまわりが大好きな人だけになっていました」