なぜ西武は「パ高セ低」の交流戦で阪神に負け越したのか?
辻監督が就任した2017シーズン以降の西武も、交流戦では必ず貯金を作ってきた。一転して今シーズンは、両チームにコロナの陽性者が出たなかで1試合だけ開催された広島戦を引き分け、本拠地に戻ってきた阪神戦では負け越した。 セ・リーグの首位を快走している阪神だが、交流戦最初のカードではロッテに負け越している。特に27日は令和の怪物、佐々木朗希にプロ2戦目の登板で初白星を、それもミス絡みで献上するなど、嫌な雰囲気を抱えたまま今遠征に出ていた。 その阪神に負け越したのはなぜなのか。1勝1敗で迎えた3回戦に絞れば、4回途中で被安打7、失点5(自責点4)でKOされた先発右腕・平井克典も要因にあげられる。 「今日は何もありません。たくさん点を取ってもらったのに申し訳ないです」 黒星は5回に8番・梅野隆太郎に勝ち越しとなる、今シーズン第1号2ランを浴びた3番手のサブマリン與座海人についた。それでも、3回までに2度のリードをもらいながら踏ん張り切れなかった不甲斐なさを、平井は短い言葉に凝縮させた。 今シーズンから本格的に先発へ転向し、開幕ローテーション入りした平井はいきなり3連勝をマークした。しかし、その後は白星から遠ざかり、特に直近の3試合だけに限れば防御率が9点台へ急激に下降している。辻監督も「コントールも悪いし、なんか(ボールの)キレも悪いね」と振り返った上で、今後に対してこう言及している。 「いろいろと(コーチ陣との)ミーティングで話も出るだろうし、ちょっと考えます」 平井だけが投手陣で精彩を欠いているわけではない。不調の守護神・増田達至がファーム落ちしている状況で、頼れるリリーフがパ・リーグ記録に並ぶ、開幕から26試合連続無失点を継続している21歳の豪腕、平良海馬だけという状況だ。 増田の離脱後に3度のセーブ機会で登板したリード・ギャレットは、そのうち2度で失敗。7-5でマウンドに上がった阪神との初戦では、怪物ルーキー佐藤輝明の決勝3ランを含めて5失点と炎上し、シーズン2敗目を喫している。 この日は、7回の山川の走塁だけでなく、守備でもミスが目立った。ライナーをもぎ取ったショート山田遥楓のファインプレーや、ホームを狙った代走・植田を刺したスパンジェンバーグの好返球もあったが、一方で犯したエラー3つがすべて失点につながった。辻監督が続ける。 「そういうミスをなくして、1点でも失点を少なくして戦っていかないと苦しい」 送りバントの送球時にボールを握り損ね、無死満塁とした4回の捕手・森友哉。犠牲フライからの返球が雑になり、一塁走者の進塁を許した7回のライト・愛斗だけではない。3回にマルテのポテンヒットを処理した際に、打球をグラブに当てて後逸したセンター・若林楽人のタイムリーエラーは別の意味で西武へ衝撃を与えた。