なぜ”令和の怪物”ロッテ佐々木朗希は”セ最強”阪神から憧れ甲子園でプロ初勝利をもぎとることができたのか?
千葉ロッテの佐々木朗希(19)が27日、甲子園で行われた交流戦の阪神戦でプロ入り2度目の先発マウンドに立ち、5回94球を投げ7安打4失点(自責点3)の内容でプロ初勝利を挙げた。5回を投げ終え2ー4のスコアだったが、チームは6回に逆転。必勝リレーで2年目の逸材のプロ初勝利をサポートした。佐々木は、素直に「うれしい」と語り、同時に「反省点が多いが次に修正したい」と、次なる第3戦に目を向けた。なぜ“令和の怪物”はセの首位を走る虎から勝利をもぎとることができたのか。
5回4失点も逆転で幸運なプロ初勝利「偶然ではない」
2年前の夏…甲子園出場をかけた岩手県大会の決勝戦のマウンドに立たずに敗れ、物議を醸した“令和の怪物”が、その憧れの夢舞台で記念すべきプロ1勝を刻んだ。 「うれしい」 19歳の第一声が初々しい。 「初めての甲子園だったので、甲子園の雰囲気を感じながら一生懸命投げたいと思いました。楽しかったです」 敵地でのヒーローインタビューにはにかむようにして笑う。 5回7安打4失点。内容は褒められたものではない。だが、94球を投げ降板が決まっていた直後の6回に逆転劇が起きた。 6回二死から中村の四球をきっかけに角中の左中間を破るタイムリー二塁打で2点差を追いつき、藤岡のマルテの送球ミスを誘う強襲内野安打で、試合をひっくり返してもらったのだ。 「ベンチで見ていましたが、びっくりしました」 佐々木が、その時の心境を明かす。 いわゆる“持っている男”だ。 実はプロ初登板となる5月16日の西武戦も5回を投げて4失点したが、直後に逆転劇が起き、一度は勝利権利を手にしている。 阪神、ロッテの両球団でコーチ経験のある評論家の高代延博氏は「単なる偶然ではない」と分析した。 「ストライクが先行して投球リズムがいい。打者25人に対して敬遠を含めて3四球を与えたが、それを除くとフルカウントまでいったのは3度しかなかった。しかも逃げずに攻める姿勢を見せた。こういうピッチングを守りながら見ていると打者の集中力につながる。これも佐々木が持つ素養だと思う。彼は勝てるピッチャーですよ」 高代氏は、佐々木には3つの「怪物の片鱗」が見えたという。 コントロール、ストレートの質、メンタルの強さの3点だ。 「コントロールに苦労しないこと。そして、ストレートの質。どちらかというとスピンの効いた球質に感じたが、あれだけ足を高くあげて、ボールに角度をつけられ、しかも手の長さを生かした打者に近いリリースなので打者がストレートを狙ってファウルになっていた。ダルビッシュの1年目、2年目の球質に近いようなイメージを抱いた。そしてキャッチャーの問題もあるが、配球も含め、まだ駆け引きができないのにビッグイニングでせず各イニングを最小失点に抑えた部分にメンタルの強さを感じた」