PFAS、国の暫定目標値超えはゼロながら水道事業の約2割で検出 初の全国大規模調査
PFASは炭素とフッ素がつながった有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称。4730種類以上、定義によっては1万種類以上あるとされる。耐熱や水や油をはじくなどの性質があり、フライパンなどのコーティングや食品包装、衣類の防水加工など身近な製品のほか、半導体や自動車の製造過程などで使われてきた。 PFASのうちPFOS、PFOAといった代表的物質について2009年以降、動物実験で肝臓機能や体重減少などの影響のほか、人体に対してもコレステロール値の上昇や発がん性への影響の可能性を示す報告が出された。
このため国際的な規制が進み、日本国内では代表物質であるPFOSが2010年、PFOAが21年に輸入や製造が原則禁止された。しかし、これらの物質は自然環境では分解されにくく、過去に廃棄された分などが残留し、全国の河川や地下水、井戸水などから相次いで検出されて社会問題化している。
現在は日本の暫定目標値は、基準を超えても水質改善などの対応は努力義務にとどまる。海外では規制強化の流れがあり、米国は今年4月に代表的2物質の飲料水の規制値について、それぞれ1リットル当たり4ナノグラムと世界一厳しい基準を設定。ドイツは2028年に代表的2物質を含む4種類のPFAS合計で同20ナノグラムにする予定で、カナダやオーストラリアなども規制強化の方針を明らかにしている。
このため専門家からは日本国内でも海外の動向に合わせた基準の厳格化を求める声が聞かれる。こうした指摘を受け、環境省は現在、国の暫定目標値を超えた場合に水質改善などの対応を義務付ける水道法上の「水質基準」の対象に引き上げる方向で検討している。