変異DNAを迅速に分離 がん研究など貢献期待 東大
変異が生じたDNAだけを、未変異のDNAとの混合物の中から簡便、迅速に分離する技術を開発したと、東京大の相田卓三卓越教授らの研究チームが4日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。 DNAを構成する塩基配列のごく一部の変異ががんや腫瘍を引き起こすことがあるが、従来は変異を起こしたものだけを分離するのに数時間以上を要した。新たな方式はコストも安く、実用化できればがん研究などへの貢献が期待できるという。 相田卓越教授らは、別の研究で行った実験で、構造がわずかに異なる2種類の高分子を硫酸アンモニウム溶液に混ぜ、ガラス板に滴下すると板上でドーナツ状の構造ができることを発見。外周は1種類の、内側がもう1種類の高分子に分かれていた。 研究チームは、この現象が変異DNAなどの分離に応用できると考え、30塩基のうち1カ所が変異したDNAと未変異のDNAを等量ずつ混合して試したところ、30分ほどの作業で変異したDNAを分離できた。