2015年の鉄道を振り返る 鉄道ライター・伊原薫
JR北海道が列車や駅の廃止を発表、札幌市電が環状運転を開始
JR北海道が、2016年3月のダイヤ改正で普通列車79本の廃止や区間短縮を行うことを発表。現在使用している車両の老朽化により必要数を満たすことができなくなるため、利用者の少ない列車を削減することになりました。 これにより、石勝線新夕張~夕張間は現行の9往復から5往復へと大幅に削減、札沼線浦臼~新十津川間は1日たった1往復となるなど、公共交通としては非常に厳しい状態に。JR北海道では同時に乗降客の少ない9駅を廃止することも決まり、さらなる合理化が進むのか、今後の動きが注目を集めています。 日本最北の路面電車、札幌市電。これまで終点だった西4丁目~すすきの間がつながり、ループ線が完成。12月20日から環状運転が開始され、市民や観光の足がさらに便利になりました。 路面電車関連では、福井で駅前への延伸工事が進んでいるほか、岡山・広島でも計画が進行中。栃木・宇都宮市ではLRT路線の新規開業に向けた動きが加速しています。これからのまちづくりに、路面電車は欠かせないものになるのかもしれません。 2015年は新路線開業や路線延伸など、明るい話題が多かった一方で、既存路線の廃止や本数削減など、公共交通としての鉄道に大きな試練が続く1年でもありました。2016年も鉄道が安全で確実な輸送機関として活躍することを、そして鉄道にとって・公共交通にとって・地域にとってより良い方向へ進むように、願いた いと思います。 (文/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる)大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。