2015年の鉄道を振り返る 鉄道ライター・伊原薫
ブルートレインが歴史に幕
中央線を走る特急「スーパーあずさ」で使われているE351系の老朽化に伴い、だいたい車両として開発されたE353系の試作車両が完成。白い車体にバイオレットの細い帯が配された、シンプルで高級感のあるデザインが特徴です。現在、量産車の製造に向けた試験が繰り返されています。中央線では、2020年度から2階建てグリーン車の運行も始まる予定で、今後も目が離せません。 1958(昭和33)年、「走るホテル」と言われた20系寝台客車に端を発したブルートレイン。夜行特急列車の代名詞として、子どもから大人まで憧れの存在でもありました。最盛期には東京発・九州方面行きだけで1日10往復以上が運行されていましたが、ライフスタイルの変化や車両の老朽化、経営合理化などにより次々と廃止され、最後に残った上野発札幌行きの「北斗星」が8月23日に臨時列車としても運行を終了。日本からブルートレインが姿を消しました。夜行列車自体ももはや風前の灯で、「夜汽車」という言葉は過去のものになろうとしています。
北陸地方で観光列車が相次いでデビュー
今年も台風が猛威を振るいました。特に、9月10日に東日本に上陸した台風18号は、茨城県や栃木県などに甚大な被害を与え、鉄道網も各地で寸断されました。関東鉄道常総線は広範囲に渡って冠水し全線が運休、完全復旧まで2か月かかったほか、野岩鉄道では電力網が寸断されたために電車の運行ができず、一部区間でディーゼルカーによる運転が続きました。 北陸新幹線の開業で観光客が増加した金沢・富山で、2つの観光列車が相次いで登場。1つは金沢と和倉温泉を結ぶ特急「花嫁のれん」で、加賀友禅や輪島塗をイメージした車両には金箔なども使われています。 有名旅館「加賀屋」の女将さんも乗り込んでの、きめ細やかな車内サービスも魅力です。もう1つはフランス語で”美しい山と海”を表す「ベル・モンターニュ・エ・メール」。車体は落ち着いた深緑色と金色の模様で、額縁に見立てた大きな窓からは氷見・城端線の絶景を楽しめます。井波彫刻を施した車内装飾も必見です。