2015年の鉄道を振り返る 鉄道ライター・伊原薫
2015年もあとわずか。今年も日本全国でさまざまな鉄道の話題がありました。そこで鉄道界の1年を振り返り、10個のトピックスをピックアップ。皆さん、覚えていますか? 北陸新幹線(長野~金沢間)の旅 車窓から眺める雄大な立山連峰から日本海まで
3月北陸新幹線が開業 4月三重と京都で新たな鉄道会社
今年も3月に行われたJRのダイヤ改正。多くの列車が誕生し、また廃止されましたが、やはり一番のトピックは北陸新幹線でしょう。 長野~金沢間228.1キロメートルが営業を開始し、東京と金沢を最速2時間28分で直結。首都圏と北陸地方の距離がグンと縮まりました。ちなみに、日本の鉄道で新路線が開業したのは4年ぶりのことです。一方で新幹線の開業に伴い、大阪や名古屋と直通特急で結ばれていた富山へは乗換が必要になり、これまでJR北陸本線だった区間は3社の第三セクター鉄道に分割されるなど、一部の人たちにとっては素直に喜べない一面もあります。 三重県と京都府で、新たに2つの鉄道会社が誕生。近畿日本鉄道のナローゲージ区間、内部・八王子線を引き継いだ「四日市あすなろう鉄道」と、北近畿タンゴ鉄道の運行を受託した「京都丹後鉄道」がそれです。両社とも「上下分離方式」が採用され、線路や駅舎などの資産は地元自治体や第三セクターが保有、列車の運行を新設会社が担うことになりました。地域鉄道を存続させる新たな仕組みに、全国から注目が集まっています。
仙石東北ライン開業やトーマス列車運行
2011年の東日本大震災から4年、鉄道路線の中でも大きな被害を受けた1つだった仙石線が全線復旧。津波被害の大きかった一部区間では、集落の高台移転に伴って線路も移転しました。これと同時に、東北本線と仙石線の線路が近接している松島付近に連絡線を新設し、仙石線石巻方面から東北本線仙台方面へ乗り入れる「仙石東北ライン」も開業、利便性の向上も図られています。鉄道の復興については、山田線が宮古~釜石間の復旧後に三陸鉄道へと移管されることが決定、また大船渡線のBRT区間については鉄道での復旧を断念するなど、新たな局面を迎えています。 子どもたちに大人気の「きかんしゃトーマス」が現実の世界に。昨年に引き続き、大井川鐵道の「SLトーマス号」が6月から運行されました。今年は「トーマス」に加えて「ジェームス」も登場、機関車だけでなく客車も塗り直され、終点・千頭駅では他の仲間たちも出迎えるなど、昨年から更にパワーアップ。子どもたちの歓声があちこちで聞こえました。東京から日帰りで訪れることのできる同鉄道、来年の「SLトーマス号」運行予定も先日発表され、今後が楽しみです。