出生体重4980g。生まれる途中で肩がひっかかり、右腕の神経が切れるトラブルに。すべてを受け入れることは一生難しい【体験談】
宮城県仙台市で似顔絵制作を行っているSUZUさん(30歳)は、出生時のトラブルで右腕にまひが残っています。「分娩まひ」という分娩時に腕の神経が損傷を受けたことにより生じたものです。SUZUさんは現在6人の子の母親ですが、SUZUさんが生まれたときの様子、腕がみんなと違うということに気づいたころのことについて聞きました。全3回のインタビューの1回目です。 【画像】自分に障害があると気づいた小学2年生ころのSUZUさん。
推定体重3500g。経腟分娩で出生するも、生まれる途中で肩がひっかかり
――SUZUさんは出生時に右手がまひしてしまったと聞きました。どんな様子だったか教えてください。 SUZUさん(以下敬称略) 私は6人きょうだいの末っ子で、母のおなかにいるときは、まったく問題はありませんでした。推定体重は3500g前後ということで、経腟分娩でした。 母は、私の妊娠がわかったとき離婚していたんです。それでも「絶対この子を育てる」と、シングルマザーとして出産する決意をしたそうです。 兄姉たちが生まれるときは、いつも自然に陣痛が来なかったため、陣痛促進剤を使用していたとのことです。私のときも同様の対応がとられることになりました。 双子の兄たちを出産する際も、母は帝王切開ではなく、経腟分娩でした。6人目ということ、双子も出産しているということで、ある意味ベテラン妊婦さんだったと思います。 そんな母は、私を産むときは「これまでとは様子が違う…」と感じたらしくて…。出産経験が多い母が異変を感じるのはよっぽどのことだったんだと思います。 ――具体的にどんな違いを感じていたのでしょうか? SUZU 陣痛促進剤を使って陣痛がきているときに、赤ちゃんには骨盤のほうに下りてきてほしいのに、上に上がってくる感じがあったと言うんです。胃が押され、口から赤ちゃんが出てきそうな感じがして気持ちが悪くなったと言っていました。 助産師にも伝えたのですが「陣痛促進剤を打ったらよくあることです」と言われたらしいです。おそらく、この時点ですぐ帝王切開に切り替えていれば、私の体にまひが残ることはなかったと思います。でも、ちょうど医師がその場にいなかったこともあったのか、そのままお産は進められました。 私の頭が出て、右腕が出てきました。ところが肩が引っかかってしまい、体が出てこなかったのです。医師が来るまで30分くらいその状態だった、と母は覚えています。ようやく医師が来て、母のおなかを押したり私の右手を引っ張ったりして、なんとかとり上げることができました。母もこれまで経験したことがないほど壮絶なお産だったとのことでした。 生まれても私は泣かず、30~40分くらいしてようやく小さい声で泣き始めたと言っていました。母もどうしていいかわからず、医師たちに任せるしかありませんでした。翌日「もしかしたら赤ちゃんの腕に障害が残り、動かないかもしれない」と告げられたそうです。 ――出生時に体が引っかかったのが原因だったのでしょうか。 SUZU そうです。右腕を引っ張ったときに、神経が切れてしまったようです。胎児の体が大きいと「分娩まひ」といって、出生時に母体に胎児の体が引っかかり神経が切れてまひが残る場合があるそうです。 おなかの中にいるときに3500gくらいと推定されていた私の出生体重は、4980gもありました。分娩まひは大きな赤ちゃんの起こることが多いそうです。