なぜ井岡の名誉を傷つけた問題から1年が経過してもJBCのドーピング検査体制は整わないのか…木村翔”反則被害”問題にも静観構え
また昨年の大晦日の試合で、井岡が厳重注意処分を受けることになったタトゥー問題については、福永も背中に入っていることもありルールミーティングで、両陣営に対して事前に控室で隠す措置をしてリングに上がることが確認された。 「ファンデーションではなく、スプレー式コンシーラーを使い、陣営で消してもらい、JBCが確認します」と成富氏。 だが、井岡の9月の防衛戦の際にもJBCがチェックしたにもかかわらず、試合がクリンチを伴う激しい消耗戦になったこともあり、2ラウンドが終わった時点でコンシーラーがはがれはじめ、井岡自身が「試合が終わったら全部取れてしまっていました」と振り返るほどハッキリとさらけだすことになった。その際、成富氏は「今後どのようにして隠していくかを検討しなければならない。練習のときからテストしてもらった方がいいのかもしれない」と今後の改善策を明かしていたが、今回も特段、コンシーラーの塗り方の指導をすることなく「立ち合いまではしない」(成富氏)という。 黒と白の二種類のコンシーラーを二重塗りすれば、ほぼ落ちないとされているが、陣営に任せる手法が取られるのであれば、試合展開次第では、またタトゥーが露出する可能性もあるだろう。 また元WBO世界フライ級王者の木村翔(花形)が、18日にボクシングのエキシビションマッチとして呼ばれた中国武漢でのイベントで体格の違うインフルエンサーでキックボクサーの選手からプロレスまがいの反則行為を受け、あわや大惨事の事態に巻き込まれた問題に関して、成富氏はJBCの方針をはじめて示した。 「積極的な調査はしない。情報は来ているが、最終的には、(木村選手に)ライセンスの更新がない。どんな状況だったかがわかり、アクションが必要になればやる」 JBCと日本プロボクシング協会は、連名でボクシングと他の格闘技が絡むような“非ボクシング“に「関与、協力しないこと」との声明を出している。だが、国内と中国の両方でネット上で映像が拡散する騒動となり、「我々もニュースで見たことしか知らない」(成富氏)という状況であるにも関わらず、所属の花形ジムに「連絡もとっていない」(成富氏)という。 JBCは、木村のボクサーライセンスが更新されておらず、事実上JBCの管轄外の選手であることから静観を決めているのかもしれないが、所属はJBCがオーナーライセンスを発行している花形ジムの選手で、しかも、元世界王者。その木村は、先日、花形ジムのHP上で謝罪&説明の公式文書を掲載している。 木村は、世界再挑戦を目指しており、今後ライセンスの更新手続きが行われるとも考えられており、「JBCの管轄外の選手」でくくってJBCが調査すら行わず今回の一件を放置するのは問題だろう。 日本プロボクシング協会の会長でもある花形進会長も、管理責任を感じており「必要があれば説明はする」との姿勢を明かしているが、JBCからアクションがなければ動くこともできない。 JBCのこれらの問題意識の欠如や、ドーピングの体勢作りの遅れで露呈した組織としての脆弱さを日本プロボクシング協会も問題視している。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)