どうなる?!4階級制覇王者の井岡一翔vs”リトルパッキャオ”福永亮次の大晦日決戦…飛び散る火花と1対8の海外オッズの理由
プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチの前日計量が、当日の試合会場となる大田区総合体育館で行われ、王者の井岡一翔(32、志成)がリミットの52.1キロ、同級6位の挑戦者、福永亮次(35、角海老宝石)は100グラムアンダーで、それぞれ一発でパスした。福永サイドが強打者に有利とされる薄いメキシコ製のレイジェス社のグローブを選べば、井岡サイドもルールミーティングで福永の右手で相手を抑え込むような反則行為にクギを刺すなど“前哨戦“に火花が飛び散った。これがV4戦となる井岡にとっては、IBF世界同級王者、ジェルウィン・アンカハス(29、フィリピン)との統一戦が流れての代替試合。10度目の大晦日決戦に「立ち止まってはいられない。僕の中では挑戦」とプライドをのぞかせた。
挑戦者はパンチャーに有利なグローブを使用
約20秒続いたフェイスオフ。 井岡は表情も変えず握手もせずに離れた。 「特に何もない。イメージした通り」 相手の印象を聞かれた井岡に王者の自負がちらつく。戦闘モードだ。 一方の福永は、「テレビで見たことしかなかったので凄いというしかない。気合が入りました」とリスペクトを込めて表情を引き締めた。 続いてグローブチェック。井岡はアメリカ製(製造はメキシコ)のエバーラスト社のグローブで福永はメキシコ製のレイジェス社のグローブを使用する。 8オンスで重さは同じだが、レイジェスは、拳部分のあんこが薄くグローブ全体も柔らかくパンチャーに有利とされるグローブである。一昔前であれば王者側に選択権があり同じグローブを使っていたが数年前からルールが変更された。福永に付く奥村健太トレーナーは「福永さんは、あれだけのハードパンチャーなのに、これまで拳を痛めたことが1度もない。だからレイジェスのグローブの下のバンデージもかなり薄く巻けます。さらにパンチを効かせることができますよ」と言う。 「型枠大工」の一人親方としてボクサー以上の収入を得ている福永は、15歳の頃から、ずっと現場で大工仕事をしており、ボクシングのパンチ力強化のトレーニングで使われるハンマー打ちなどを日常の仕事の中で行ってきた基礎体力がある。福永自身も「手首や拳など関節が鍛えられた」と説明していた。15勝14KOの高いKO率の源泉。その拳の破壊力が存分に生かされるグローブを使用できるのは追い風だが、対する井岡は、まったく意に介さない。 「今までもレイジェスを使っている選手とやってきたのであまり気にならない。好きなグローブで満足のいく状況で試合をしてもらいたいし、お互いがそうすることで自分のパフォーマンスを出せて、納得のできる試合ができると思う」 ルールミーティングで仕掛けたのは井岡陣営だ。 距離を取って戦うスタイルの福永に、時折、右手で相手を抑えつけるようにする行為が見られるため「スーパーバイザー、レフェリーの方は注意して見ておいて欲しい」と牽制したのだ。スーパーバイザーの安河内剛氏、レフェリーの中村勝彦氏もルールにのっとって反則行為については、しっかりと注視することを約束した。福永も意図的ではなく、パーリングの一種として前の手を使っているのだろうが、井岡陣営がミーティングで念を押したことには抑止力としての効果はあるだろう。