「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」が「T3(ティースリー)」として企画拡大。フェスティバル、フェア、育成事業が充実
今年で6回目を迎える「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」が10月5日~27日の会期で開催される。同企画は今年、アジアの写真文化を発展させるプラットフォーム「T3(ティースリー)」として拡大し、100名以上の作家が参加する写真プロジェクトのかたちで東京・八重洲、日本橋、京橋エリアにて展開される。 T3は、フェスティバル、フェア、育成事業からなる包括的な写真プロジェクト。東京を舞台に、アーティストに国際的な作品発表と制作の場を提供する写真祭「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」に加え、アジアにおけるアートフォトのマーケットとして新たにスタートするフェア「T3 PHOTO ASIA」と、フェスティバルとフェアという環境をクロスオーバーしながら新たな才能を育てていくプログラム「T3 NEW TALENT」も充実する。 今年のフェスティバルでは、「New Japanese Photography: 50 years on」をテーマに、3組のキュレーターによる企画展が開催。1974年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で「New Japanese Photography」展が開催され、海外におけるその後の「日本写真」の評価や研究に長く大きな影響を与えた。今回のフェスティバルでは、「New Japanese Photography」を軸に、現代において大きく変化し広がりを見せる「写真」に新たな光を当てることを試みる。 写真批評家/写真史研究者の調文明がキュレーションした「NEW JAPANESE PHOTOGRAPHY 1974→2024」では、「50年後のNew Japanese Photography」としてこの半世紀のなかで起こった様々な変化を踏まえたうえで「いま」を体現する作家7名を展覧。パリを拠点に活動するライター、エディター、キュレーターであるマーク・フューステルによる「Alternative Visions: A Female Perspective / The Wall vs the Page」では、女性と「写真集」の存在という、「New Japanese Photography」で見過ごされた2つの視点に着目する。写真・ジェンダー表象研究者の小林美香が企画した「その『男らしさ』はどこからきたの?」では、写真のコミュニティのみならず、メディアや日本社会全体に通底する男性中心主義的価値観・ホモソーシャル性に焦点を合わせ、「男らしさ」とは何かを戦後社会の変遷に照らし、批評的な観点から検証する予定だ。 10月19日~21日に東京ミッドタウン八重洲で開催される「T3 PHOTO ASIA」では、アジアを拠点とするギャラリーが集まり、各国で注目を集めるアーティストによる写真作品を次世代の視点から多角的に紹介する。これまでも国内の美大・専門学校で写真を学ぶ学生を対象に「学生プロジェクト」を開催し、若い才能への機会提供を行ってきた同フェスティバルは、「T3 NEW TALENT」としてその対象を中堅作家やキュレーター・批評家等に拡大した新たなプロジェクトを実施していくという。