石川祐希はペルージャで初心にかえる パリオリンピックは「勝負を楽しんでいる自分はいなかった」
石川祐希のAttack The World vol. 12 バレーボール男子日本代表の主将・石川祐希(ペルージャ)は、イタリアで10季目のシーズンを迎えている。この夏の激闘を胸に刻み、進歩を続けるべく、次の目的地へ歩み始めた。真夏のパリで石川は何を感じ、何を考えていたのか。胸の内を明かしてもらった。 【写真】男子バレー日本代表キャプテン・石川祐希 フォトギャラリー 【ドイツ戦で持ちすぎていた「余裕」】 ――大会前、「五輪はいつもと環境は違うけど、コート内でやることは同じだ」とおっしゃっていました。とはいえ、難しい状況も多々あったと見受けられます。フルセットで敗れた初戦のドイツ戦は、どう感じてプレーしていましたか? 「ドイツ戦に関しては、1セット目の出だしが特に悪かったです。全員が五輪に懸けてきたので、硬くなっていた部分もあったと思います。でも、2セット目、3セット目はしっかりと自分たちのバレーができていましたし、4セット目の途中まではそれが継続できていました。そこで自分たちのバレーに慣れてきて、ちょっと余裕を持ちすぎていたな、勝てると思いながらやっていたな、というのは今でも思います。 でも、ドイツは僕たちに勝ち、アメリカともフルセット、優勝したフランスともフルセットまで戦ったので、パフォーマンスはめちゃくちゃよかった。本当にあと1点、2点、ネットタッチやアンテナを触ったりともったいないミスがあったので、流れも含めてドイツだったのかなと。あの試合に勝つか負けるかで、次の試合のメンタル面が大きく違っていたと思っているので、1番大事な試合でしたね」 ――石川選手自身も「余裕を持ちすぎていた」のでしょうか。 「目に見えないものなので難しいところではありますけど、僕もあったと思います。数字だけを見ると、そこまですごく悪かったわけではないとは思っていますけど」 ――常々、「最悪の想定もしている」とおっしゃっていました。ドイツ戦の負けも想定していたんですか? 「どのチームが勝ってもおかしくないなかで"絶対"はないので、負ける可能性も現実としてはあり得ると思っていました。負けるイメージはしてないですけど、もちろん最悪の場合のことも考えてましたね」