石川祐希はペルージャで初心にかえる パリオリンピックは「勝負を楽しんでいる自分はいなかった」
【感じていた違和感】 ――ドイツ戦から、どう立て直してアルゼンチン戦に臨みましたか? 「五輪予選でも負けたことがあったので、もう一度しっかり自分たちのプレーをやろうと思って臨みました。(フィリップ・)ブラン監督もドイツ戦後のミーティングで、『もう勝つしかない。自分たちのプレーをしっかり信じよう。今までやってきたことに間違いはなかったから、それを信じてもう一度戦うだけ』と話してくれました。 技術的には、ドイツ戦ではフリーボールが9本くらい返ってきていましたが、2本しか決めることができていませんでした。そこを『あと1、2本決めるだけで変わる』と話してくれましたね。ただ、アルゼンチン戦もリードされる場面があって、自分たちのペースに持ってくのは難しい試合でした」 ――アルゼンチンには勝ちましたが、石川選手の状態はそこまでいいようには見えませんでした。 「自分のコンディションは決して悪くはなかったんですけど、"何かが合わなかった"というのはありましたね」 ――アメリカ戦でも思うようなプレーができず、途中でベンチに退きました。代わって出た大塚達宣選手(ミラノ)が活躍して1セットを奪い、辛くも決勝トーナメント進出を決めましたが、どのような心境で見ていましたか? 「あの場面なら、僕が出るより大塚選手が出たほうがいいな、とコート内でも感じていました」 ――石川選手自身がそう感じていたというのは驚きです。なぜだったんでしょうか? 「僕のパフォーマンスがよくなかったのと、それに伴って他の選手が僕に気を遣い出しているのがわかったからです。それで彼らも本来の力が出ていないと思ったので、それなら大塚選手が出たほうが、みんなが余計なことを考えなくて済む、頭の中をクリアにして試合に臨めると思いました。実際に交代した後にベンチから見ていてもそう感じられたので、結果的に交代してよかったと思っています」