石川祐希はペルージャで初心にかえる パリオリンピックは「勝負を楽しんでいる自分はいなかった」
【イタリア戦で失っていた"楽しむ"感情】 ――そこから中2日空いてのイタリア戦。どのように状態を上げたのでしょうか。 「僕のパフォーマンスが上がらなかった原因はわかっていたので、そこさえ改善できれば大丈夫だと思っていました。アメリカ戦の翌日は色々考えてしまっていましたし、それをクリアにするためにしっかり練習しました。かなりスパイクを打ち込みましたね」 ――1次リーグで負けられない、というプレッシャーも大きかったと思います。 「それは間違いなくあったと思いますし、それが少なからず全員にとってプレッシャーになっていたと思います。ドイツ戦の出だしからあんまりよくなくて、そこで負けてしまったのはプレッシャーが原因のひとつだったのかなと思います」 ――イタリア戦は先にマッチポイントを握りながら、逆転負けを喫しました。どう振り返りますか? 「勝つチャンスはもちろんあったし、それを逃してしまったことの悔しさが大きいです。3セット目と5セット目、数多くのチャンスがあったのにそれを掴みきれなかったのは、やっぱり力不足だなとあらためて感じます」 ――こうすればよかった、と思うことはあるんでしょうか。 「それは、挙げたらキリがないです。初戦のドイツ戦でも最後に競り負け、1次リーグもギリギリの突破で決していい状態ではなかったので、そのイメージが僕にも、他の選手にもあったと思います。あとは、第3セットで24-21になった時点でちょっと気が緩んでしまったというか、隙を見せてしまった。 1セット目、2セット目では"その場面を楽しむ"というのがあったと思いますが、3セット目の勝負がかかった時には1点を取ることだけに集中していました。それで視野が狭くなってしまった部分もあったんじゃないかと。(バスケットボールのアメリカ代表)ステフィン・カリー選手が最後の競り合いを楽しんでいる姿を見て、"勝負を楽しんでいる自分"はイタリア戦の時にはいなかったなと感じました。それが合っているかどうかはわかりませんが、"楽しむ"という感情があってもよかったとは思います」