国民・玉木雄一郎はなぜいま叩かれる?「手取りを増やす」がぶち破るべき本質的な「130万円の壁」とは
■ 「国民玉木は調子に乗っているからバッシングに協力してくれ」 国民民主党も空前のモテ期になって、日本共産党や一部立憲民主党の人たちからも「国民玉木は調子に乗っているからバッシングに協力してくれ」的なアプローチが増えてきました。 でも、国民民主党は支持率1%のところでも政策本位を旗頭にいろんな積極的な政策を打ち出してきて、我慢して我慢してようやく花開いた面もありますから、文句言ってもしょうがないんですよ。 なにより、立憲民主党も、いくら国民民主党とは同じ政党・勢力、支持母体であるとはいえ、ほとんど同族嫌悪的な仲の悪さもあり、「首班指名で『野田佳彦』と書いてくれ」って本気で言うような関係ではないという状況があるわけですよ。 立憲の誰に話を伺っても、本気で野田佳彦さんが勝てるとは思っていないし、この状況で立憲中心の少数与党でやっていけるとも考えていない。ただ、議席増を勝ち取った山の上に旗を立てたいというぐらいの話でしかないのでしょう。 一部報道であった「国民民主党は政策を実現させることしか考えていない。自公にすり寄るのは身勝手だ」という内容は、あれ本当にそう思ってるんですよ。政党なんだから、主張した政策を実現させるために、政界の仁義の許される範囲で敵たる自公政権に協力することも辞さないというのはごく当たり前のことじゃないのかなあとは思うのですが。 立憲から「なら、立憲と共産で『玉木雄一郎』と書くのも手じゃないか」と言われ、自民も「直接の連立が模索できないなら『玉木雄一郎』と書いてしまう手もある」などとされると、偶発的な感じでうっかり総理大臣・玉木雄一郎が爆誕してしまう可能性も微粒子レベルで存在しています。 国民民主党としても、今回は勤労層に資する政策主張で躍進し、支持率もご祝儀的に増えることとなりますが、ここから先が本格的な『第三極』として支持を定着させられるのかが正念場となります。特に若い世代からの支持を集めた今回の選挙は、数字上も明らかに維新の票を掻っ攫っていったのは間違いないため、そこの数字を維持する困難さもまたご認識あるものと思います。 他方で、来年の都議選では国民民主党は連合東京をレバレッジに都民ファーストとも協調的に動く道筋をつけており、これでますます都知事・小池百合子ご勇退後の国民民主党、都民ファーストと自由民主党・公明党によるラブワゴン作戦の成就が期待されます。 岸本周平さん、大塚耕平さんら、優れた国民民主党OBの皆さんが知事や首長やるのが習わしのようですし…これはもう次期都知事に玉木雄一郎さんでいいんじゃないかとすら思うんですよ。 調子に乗りすぎですかね。 山本 一郎(やまもと・いちろう) 個人投資家、作家 1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し、『ネットビジネスの終わり(Voice select)』『情報革命バブルの崩壊 (文春新書)』『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』など著書多数。 Twitter:@Ichiro_leadoff 『ネットビジネスの終わり』(Voice select) 『情報革命バブルの崩壊』 (文春新書) 『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』(文藝春秋)
山本 一郎