17万603組…「離婚した夫婦の88.3%」は要注意、別れてから2年後に「取り返しがつかなくなること」【弁護士が解説】
離婚協議書はなるべくプロに作ってもらったほうがよい
夫婦によって、離婚協議書の作成の進め方はそれぞれです。ただ、インターネットなどで手に入る離婚協議書のひな形をそのまま利用するのはあまりお勧めできません。ひな形はあくまでもひな形です。多くの人に当てはまる可能性の高い必要最低限の体裁を整えているだけなので、各夫婦の実情や希望に合わせるためには、離婚協議書の内容を作り直す必要があります。 しかし、一般的に離婚協議書のような法的文書の作成は簡単ではなく、夫婦によって収入や、子どもの有無、人数なども違います。慣れない法律用語を用いながら、個別のトラブルを防ぐための項目を追加したり削除したりするのは、簡単なことではありません。 離婚協議書の内容に不備があると、かえってトラブルにつながってしまいます。一度は弁護士といった法律用語の専門家に離婚協議書の内容をチェックしてもらうことをお勧めします。
離婚協議書はいつ作成するか?
ベストタイミングは「離婚届の提出前」 離婚協議書は、お互いが内容に合意するのであれば、いつ作っても構いません。しかし、現実的に考えると、離婚後に別れた夫婦が何度も話し合いをするのは難しいでしょうし、相手が話し合いに応じない危険もあります。したがって、離婚協議書を作成してから離婚するのがお勧めです。 離婚後2年から3年で財産分与などを請求できなくなるので要注意 離婚をする際、 ・夫婦で協力して築いた共有財産の分割(財産分与) ・年金分割 ・相手側が有責配偶者にあたる場合は慰謝料の請求 を行うことができます。ただし、財産分与を請求できる期限は、離婚してから2年です。また、年金分割の請求についても、離婚してから2年と定められています。夫婦間の離婚慰謝料請求は、基本的には離婚の成立時から3年です。結婚中の財産を整理してから離婚届を出したほうが将来トラブルになりづらいため、離婚協議書作成は離婚届を出す前に終わらせることをお勧めします。
離婚協議書を公正証書にする意味と効力
離婚協議書を公正証書とすることには、どのような意味や効力があるのでしょうか? 主な意味や効力は、次のとおりです。 相手が約束を破った際の強制執行が容易となる 離婚協議書を公正証書とする最大のメリットは、仮に相手が約束を破って養育費などを滞納した際に、強制執行が容易になることです。強制執行とは、裁判所が支払い義務者の財産や給与債権などを差し押さえて、強制的に養育費などを取り立てる手続きです。強制執行をすることで、たとえ相手が支払う気をなくしていても、約束どおりに養育費などを受け取ることが可能となります。 しかし、離婚協議書を公正証書としていなければ、たとえ滞納が生じたとしてもすぐに強制執行を申し立てることができません。この場合には、強制の前に、合意がある場合は訴訟や支払督促、合意ができていない場合は調停や審判などを行い、相手に法的な支払い義務があることを明確にすることが必要です。その後、ようやく強制執行手続きが可能となります。 一方、離婚協議書を公正証書としておけば、万が一滞納が発生した場合、すぐに強制執行手続きを申し立てることが可能です。また、強制執行で給与などを差し押さえれば、給与の支払元である職場に裁判所から通知がされるため、自ずとトラブルが職場に知られることとなります。そのため、相手が職場にトラブルを知られたくないと考えることで、滞納の抑止力ともなるでしょう。 原本が公証役場に保管されるため、紛失の心配がない 離婚協議書を公正証書で作成した場合、手元には正式な写しである「正本」や「謄本」が交付されます。公正証書の原本は公証役場で保管されるため、万が一謄本などを紛失した場合であっても、再交付を受けることが可能です。 一方、公正証書としなかった場合の離婚協議書は、手元にある用紙自体が原本です。そのため、紛失などをしてしまうリスクが高いといえるでしょう。
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