春の夜空に輝く木星とギリシャ神話の悪役三星座を探してみよう
最近午後9時ごろ、夜空にとても明るい星があるのに気づいたことがありますか? その明るさからよく金星と間違えられるのですが、あれは「木星」です。今が一番の見ごろで、街中にいてもすぐ目につくはず。木星は、星座の星を背景に少しずつ位置を変えていきます。そして今年は木星の近くに、ある有名な星座が潜んでいます。お誕生日の星座の一つです。木星を手がかりに、その星座を探してみませんか。
目印は「ナテハ」マーク?
まずは、木星がある辺りをよく眺めてみましょう。 空が少し暗い所なら、木星の近くにハテナマーク「?」をひっくり返したような星の並びが見つかります。プラネタリウムでは、よく「?」とは逆向きなので「ナテハ」マークとご紹介したりします。また、草刈り鎌の形に似ているところから「ししの大鎌(おおがま)」と呼びます。 さて、「ししの大鎌」という名からお気づきだと思いますが、ここにある星座はお誕生日の星座でも有名な「しし座」です。街灯りの少ないところで、さらに細かな星も見つけられたら、ライオンの形がわかると思います。しし座には一等星「レグルス」が輝いています。ちょうどナテハマークの一番下の星です。 今年は木星を手がかりに簡単に見つけられますが、普段は「北斗七星」からたどることでレグルスを見つけることができます。そして、しっぽの先の星が「デネボラ」。二等星とちょっと暗い星ですが、春の星空を覚えるのにとても重要な星です。また後日登場しますので、ちょっと覚えておいてください。 都会では、意外と見つけにくいしし座ですが、今年は木星が良い目印になります。今年ならではの木星としし座のコラボレーションをお楽しみください。
人食いライオンの物語
ギリシア神話では、しし座は、ネメアの森に住む人食いライオンといわれています。その体は鉄のように硬く、剣や弓矢も効かないため、誰も退治することができませんでした。そこで、大神ゼウスの血をひく英雄ヘラクレスに、このライオンを退治せよという命令が出されました。ヘラクレスは、ネメアの森に行き、人食いライオンを見つけました。まず、弓矢を使って退治しようとしましたが、やはりはね返されてしまいます。次にこん棒で戦いを挑みましたが、こん棒が真二つに折れてしまいました。もう最後は力業です。ヘラクレスの腕力でライオンの首を絞めました。三日三晩、ライオンの首を絞め続け、ようやくライオンを退治することができ、退治した証拠に、毛皮をはいで持ち帰ったそうです。 実は、ヘラクレスはゼウスと浮気相手の女性の間に生まれた子どもでした。そのヘラクレスの活躍が気に入らないゼウスの妻ヘラが、「よくヘラクレスを苦しめてくれましたね」とライオンを称えて星座にしたと言われています。