ウォール街を悩ます「分散投資の弱気相場」、際立つ米国株一択の強さ
(ブルームバーグ): 万が一の事態に備えて債券や株式に広く分散投資するというウォール街の鉄則を守ってきた投資家は今、再び自分たちを置き去りにする米国株の上昇を羨望(せんぼう)のまなざしで見ている。
その数字は歴然としている。金融業界の古くからの知恵に従い、市場や地域をまたいで投資を分けた運用担当者は、S&P500種株価指数の銘柄を買って保持しているだけの運用者に大敗を喫している。一例を挙げると、モーニングスターが追跡している約370本の資産配分ファンドのうち、2009年以降にS&P500種を上回ったファンドはわずか1本しかない。
カンブリア・ファンズのモデルによれば、分散ポートフォリオもこの間、年6%前後のリターンを上げている。しかし、パフォーマンスの低迷は続いており、人工知能(AI)主導の株高が長引けば、さらに悪化する可能性がある。カンブリアによれば、過去15年間のうち13年で、分散ポートフォリオはS&P500種を下回っている。
小規模な投資家にとっても、大手の投資運用者にとっても、後れを取ることによる心理的負担がプレッシャーとなる。特に慣例に従っている投資家はなおさらだ。プレキンの最近の調査によると、年金から基金、財団に至る機関投資家は、債券、株式、不動産、現金など幅広い投資に資金を分散させる従来型の分散戦略に21兆ドル(約3290兆円)を蓄えている。
エヌビディアをはじめとする巨大テクノロジー企業が米株式市場を席巻し、前例のない集中リスクをもたらしているため、米国株に賭けるのは危険なように見える。同時に、高い国債利回りは、株価が急落した場合の緩衝材となる可能性がある。それでもなお、分散投資を支持する投資家は疑念に悩まされている。米国企業が生み出す利益への信頼のおかげで、米国株は毎年、唯一無二の存在であり続けている。それ以外の銘柄を保有することは、パフォーマンスの低下を招いている。