ウォール街を悩ます「分散投資の弱気相場」、際立つ米国株一択の強さ
JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフグローバルストラテジスト、デービッド・ケリー氏は「分散投資は最悪の日の強い味方だ」と指摘。「正しい資産配分は住宅保険に似ている。いつ必要になるか分からないが、持っていないと安心できない」と語った。
このロジックは、多くの資産運用のプロが望ましい資産配分水準に戻すために定期的に保有資産を入れ替えるという決定の背景にもある。
もちろん、純粋なリターンだけが重要なのではない。利益を得るためにどれだけの混乱に耐えなければならないかも考慮する必要がある。リスク調整後リターンを測るシャープ・レシオに基づくと、カンブリアのグローバル資産配分モデルは1927年以降、S&P500種よりも実際に良い成績を収めてきた。
しかし、2008年の危機の際に米金融当局が市場救済に走った後、状況は変わり始めた。それ以来、S&P500種はほとんど途切れることなく上昇を続け、ボラティリティーもほぼ落ち着いており、シャープ・レシオも高くなっている。
アルトフェスト・パーソナル・ウェルス・マネジメントのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、マユク・ポッダール氏は「分散化に意味があるのかと、誰もが疑問を抱いている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降、多くの人が株式リターンを重視するようになった」と話した。
リサーチ・アフィリエーツで株式戦略の最高投資責任者(CIO)を務めるクエ・グエン氏によれば、分散投資ポートフォリオの中で、小型株や米国以外の株式への投資効果に懐疑的な顧客は多い。
グエン氏は「過去15年間見てきたのは、大は小を兼ねるということだ。全ての卵を1つのカゴに入れたくはないだろうが、信念を貫くのは難しい」と述べた。
2022年にインフレの影響で債券が株式とともに下落したため、債券の避難先としての地位も疑問視されている。
ブラックロックのポートフォリオマネジャー、デービッド・ローガル氏によれば、インフレは今後も続く可能性が高く、政府が財政出動を補うために国債の供給量を増やす時期に、債券はリスクにさらされる。