ウォール街を悩ます「分散投資の弱気相場」、際立つ米国株一択の強さ
カンブリアの創業者であり、ポートフォリオ理論の専門家であるメブ・ファーバー氏は過去15年間を 「分散投資の弱気相場 」と呼んでいる。同氏の5400万ドルのカンブリア・グローバル・アセット・アロケーションETF(銘柄コードGAA)は設定以来、年5%のリターンを得ているが、1年を除いて全てS&P500種の後じんを拝している。
歴史上、同様の打撃が分散投資有利に転じた例はあるが、今回は特に待ち時間が長い。
最近、アンソニー・シラキュース氏のようなファイナンシャルアドバイザーは、巨大ハイテク企業のバリュエーションが他と比べて高いため、大手ハイテク企業主導の上昇を追いかけようとする顧客を抑えなければならないことが多い。
ダイナミック・ファイナンシャル・プランニングの創設者であるシラキュース氏は、「説得が非常に難しいケースもある。誰もが最高のリターンを得たがっているためだ」と述べた。
ゼロ金利時代に債券のリターンが抑制され、国際株がドル高の圧力で低迷していた時期、米国株は金融危機以降に猛烈な上昇を続け、ほとんど全ての投資対象を上回ってきた。S&P500種は年14%上昇し、発展途上国の株式の2倍、投資適格債の3倍に達している。
このような背景から、米国株から離れる投資家はほとんど皆、好機を逃した気分になる。モーニングスターが追跡している372本の資産配分ポートフォリオのうち、過去15年間にS&P500種を上回っているのは、PIMCOストックス・プラス・ロング・デュレーション・ファンド(PSLDX)だけだ。
このデータは、分散投資が理論的にはいかに健全であっても、長期的にはパフォーマンスの低い投資対象の保有によって投資家に損失を与えているとの見方を裏付けている。昨年、定年退職者は債券を完全に避ける方が良いという研究結果が発表され、注目を集めた。
近年の資産配分の支持者は、債券のような資産によって、個人投資家は経済的利益と将来の義務をよりうまく一致させることができると反論した。さらに、2000年から2008年にかけては、株式の価値が2度にわたって半減し、分散投資家が勝利を収めたこともあった。