だまっていても勉強をする子どもは、幼児期の「好奇心」のおかげ? 脳科学に基づく、好奇心を育てる生活習慣とは
■親が楽しんでいる姿を見て、子どもはものごとに興味を持つ ――幼少期の食事面で注意すべきことはありますか? 私たちの研究では、朝食にごはんを食べている子どもたちは、菓子パンを食べている子どもたちに比べて脳の発達が進むという結果が出ました。脳の活動に必要なエネルギーはブドウ糖ですが、次の食事まで枯渇せずにブドウ糖を供給できる食事がいいのです。 朝食が菓子パンだと、血糖値が急上昇して一気に減少するので、お昼前にはエネルギー不足になりかねません。それに比べ、ごはんは血糖値の上昇や減少がゆるやかですから、子どもの脳の成長に適しています。菓子パンもおやつとして食べるのはいいのですが、朝食にはごはんがおすすめです。東大生の朝食は和食が多いという説もありますが、脳科学的に納得できることです。 ――改めて、子どもが好奇心を持ち続けるために、親が意識すべきことを教えてください。 親が心から楽しんでいる姿を見せる、これに勝る方法はないと思っています。リアルな体験をさせたくて「虫取りにいっておいで」と言っても、親が虫嫌いだとしたら、子どもも好奇心を持つことはありません。相手が嫌だと思っていることは伝わるんですよね。子どもだって「嫌だ」という気持ちになります。 逆に、親がものすごく楽しそうにしていたら、子どもも「楽しそう」と感じます。ですから、スポーツでも芸術でも、親が好きなことをやっている姿を子どもに見せてください。そして、子どもが興味を持ったら一緒にやる。これが子どもの好奇心を伸ばす本質だと言えるでしょう。 (取材・文/越膳綾子) ※前編〈脳医学者パパが語る、息子の中学受験勉強に効いた方法とは? パフォーマンスを上げるために、親ができること〉はこちら 〇瀧 靖之/東北大学加齢医学研究所教授。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターセンター長。医師、医学博士、脳科学者。脳の発達や加齢のメカニズムなどを研究。著書に『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)などベストセラー多数。1児の父。
越膳綾子