東北で被災した方々の経験は宝であるべき――福島を支援してきたCANDLE JUNEが見た能登半島地震 #知り続ける
都道府県よりも市町村に寄付したほうがいい
今回の取材において、JUNEが「これだけは書いてほしいんです」と語る場面もあった。寄付先についてのJUNEの考えである。 「企業やいろんな著名人が都道府県に寄付するっていうのは、やめたほうがいいんじゃないかなって思っています。都道府県は、被災した市町村に対して平等にわけたほうがいいと考えますが、使い切ってしまってはまずいということで、復興予算が残ったりします。市町村のトップが、もともと県で働いていた人であれば、そういった予算を持ってきやすくなります。市町村のトップが、もともと国会議員や省庁で働いていた人であれば、国から引っ張ってきます。平等になるようなルールにしているものの、そこには限界があります。できれば被災した地域の市町村に寄付すべきじゃないかなと思うんです。被災した方々に一番近いですから」 しかし、市町村ごとに寄付するとなると、特定の市町村に寄付が集中する可能性もあるのではないか。そう伝えると、JUNEはメディアへの協力を求めた。 「たとえばですけど、Yahoo!ニュースですべての被災した市町村について、人口や倒壊家屋の数、現在の義援金がひとりあたりいくらなのかを、統一したフォーマットで示してもらって、それを見た人が判断をして寄付をすればいい。町も落ち着いてくれば、たとえば温泉街が整備されたとなったら、支援してくれた人たちを呼べる態勢が整うかもしれない。そうすれば、『あのとき支援したお金で、こんなにきれいになってくれて良かった、最高だった』と、支援者が今度はプロモーション側にもなってご縁ができるので、これが現代の『絆』じゃないかなと思っていて。『あの地震がきっかけで能登半島に家族で旅行に行くのが恒例になったんだよね』という人が増えれば、日本っぽい復興の形になるし、『絆』っていう言葉を使う以上は、そのぐらいのゴール地点を目指してもいいのになって思うんです」
困っている人がいたら助けるのが当たり前
東日本大震災以降、LOVE FOR NIPPONでは多くのシンポジウムを開催してきた。そこには被災地域の人々や支援者が集まり、会場にいる企業の人々の多くはスーツ姿だ。JUNEはいつものファッションのままだが、ビジネスマンのように現実的に語りかける。 「『何かあったら国がなんとかしてくれるだろう』っていう思いもあるでしょうけど、災害が起きたときに意外とそうでもないことも、これまでの被災地域の人はみんな感じているでしょう。日本には『おたがいさま』という言葉があります。困っている人がいたら助けるのが当たり前。改めて『おたがいさま』という生き方を現代なりの形で取り戻し、それを世界に示すほうがいいのではないかと感じます。人任せにするよりは、自分のいる世界をまず変えたほうがいいんじゃないかなって思うんです。今、自分のしている職業で『じゃあ、どうする?』と行動することは、自分自身や家族、会社に対してもプラスになることだと思います。すぐに結果は出ないかもしれないし、周りから煙たがられるかもしれない、でも少なくとも後悔はしないはずです」