東北で被災した方々の経験は宝であるべき――福島を支援してきたCANDLE JUNEが見た能登半島地震 #知り続ける
かつて東日本大震災で被災した福島県の人々も、JUNEの話を聞き、能登への支援を始めた。 「福島の楢葉町のアンバサダーをさせてもらっていて、楢葉町新春交歓会で松本 (幸英)町長はじめ、いろんな企業とかの人たちの前で能登の状況をお話しさせてもらったら、町のいろんな物資を預けてくれました。職員でありながら、LOVE FOR NIPPONの楢葉支部長もやってくれてる松本君という人が一緒に来てくれることになって、楢葉町長のメッセージを能登町長に手渡し、物資の提供も無事に終えてから、炊き出しの手伝いも松本君にしてもらいました。彼は津波で家を流された被災者だけど、役場職員でもあるから、住民の対応をし続けなければならなかった。同じ被災者なのに、住民のために働き、場合によってはクレームも受ける。こんなことからも防災機関を作るべきという考えに至ったんです。炊き出しをしているとき、ひとりの女性が『うちの旦那は役場で働いているんだけど、ほとんど家に帰ってこれないんです』と相談があり、松本君を紹介したんです。彼がかつての自身の経験を語ると、一気に心理的な距離が近くなっていました。東北で大変な被災を受けた方々の経験は宝であるべきで、そういった経験をいかせる意味のある仕事が防災ではないかとも感じました」 能登へのボランティアをめぐってはSNSでのバッシングもあるが、それでもJUNEはボランティアはもっと増えるべきだと語る。 「東北からの現地炊き出しチームも増えていますね。やり方もすごくスマート化しているし、一方通行の支援じゃなくって、早くから地域の人たちと交流して一緒に炊き出しをして、そのまま引き継いでいくみたいな形を取っているところもあります。先頭を切って行っている団体のスペックや経験値は、かなり上がっていると思うんですけど、一方で、先頭集団だけで続いていないという感じもします。いまだに『ボランティアは完全に自立している状況でなければ行くべきじゃない』みたいな風潮があるのは、自分はどうかと思っていて。『支援したい』という思いのある人は、支援団体に参加して、現地活動をしたほうがいいです。そこでノウハウを学んだり、つながりを作ったりして、場合によっては自分でも団体を立ち上げればいい。もっとボランティアが増えて、問題が起きたら、そのとき整理したらいいと思います。自分たちが暮らしている場所が被災したとき、何もわからないよりも、いろいろ被災地で経験していたり、支援団体や被災体験者とつながりができていたりしたほうが良いと思います」