CEOに聞く 水産界のアマゾンを目指す―― 八面六臂株式会社
3兆円という巨大な市場規模にも関わらず、IT化がほとんど進んでいなかった水産業界。「海が時化ていたら漁に出られない」など仕入れ都合によるビジネスが当然となっていた業界に、「鮮魚×IT」で革命を起こし、消費者ニーズを叶える市場への変化を目指し、取り組んでいる八面六臂株式会社。金融出身で、「鮮魚は金融商品のようなもの」という松田雅也社長に、サービスの魅力、今後の展望について話を聞きました。 ――「八面六臂」とは、どういうサービスですか 魚の仕入れから販売、マーケティングまでをやる会社です。B to Bですが、鮮魚流通の「Amazon.com」を作っています。一般的に、鮮魚の流通は、漁師が魚を市場に卸してから飲食店に届くまでには仲卸や納品業者など数々の仲介を挟んでいるんですが、「八面六臂」は、漁師と飲食店間の様々な段階の業者と取引しており、最適な流通網を毎日毎日構成することで無駄な過程を省き、効率的なコミュニケーションのもと、飲食店のニーズに合う、より新鮮な鮮魚を届けて、消費者に食べてもらうことをできるようにしています。鮮魚は金融商品と同じで相場が変動します。そういう商品をいかに、いい相場で飲食店、その先の消費者に届けられるかを工夫してサービスを展開しています。 ――飲食店はどういう風に発注するのですか 飲食店に対して発注用のアプリが入ったiPadを無償で貸与していて、それを使って発注してもらってます。これまでは飲食店の料理長は、仕入れに電話やFAXを使用しているがほとんど。当初、彼らは「ITは嫌い」と言って、関心を示そうとしなかったです。笑い話でもあるんですが、「IT嫌い」を自称しながら、片手でiPhoneをいじりfacebookをやったりしている。つまり、そういうシステムを使えないわけではなかったんです。「魚とIT」という斬新な融合が、ミスやロスが無い、速い流通を生み出すことができたと思ってます。各地漁場で捕れた魚は、市場というひとつの場所に集められ、消費者のもとに届くようになっている。ITを取り入れ、仮想の市場をデジタル画面上に創りあげることで、ひとつの場所に集められる手間が今後は無くなっていくでしょう!