積荷は大戦時の巨大飛行艇!? ウェスタン・スター「4900SF」が往年の巨人機を博物館へ運ぶ!
重量物輸送の定番となっている「4900SF」
ウェスタン・スターのブランドマーケティング&コミュニケーションマネージャー、アレックス・マーティン・バンザー氏は次のようにコメントしている。 「自分が歴史的な出来事に関わったと言える機会は多くはありません。この航空機は、翼の幅が200フィート(約60メートル)あり、何も積んでいない状態でも重量は7万6000ポンド(約34トン)もあります。 この素晴らしい航空機を、その最後の目的地に先導する重量物運搬用トラックを提供できたことを、ウェスタン・スターは光栄に思っています」。 いっぽう、ニッケル・ブラザーズのティム・ニッケル氏は今回の航空機輸送について次のように説明している。 「マーティン・マーズは飛行艇です。博物館への陸上輸送を開始する前に、厳しい海上作業を行なわなければなりませんでした。航空機の重量に耐えるため、トラックには8輪アクスルを2軸追加し、地上での積載要件を満たしました。 機体を保護し輸送の安全性を確保するため、機体の複数の個所を固定する必要があります。ニッケル・ブラザーズはこのような重量物輸送が可能なチームですが、私のキャリアの中でも最も思い出深く、記念碑的な輸送の一つになりました」。 飛行艇は地上高7フィート(約2.1メートル)で360度旋回可能な特殊トレーラに積み込まれ、ビクトリア空港の現役の誘導路を走り、BC航空博物館への引っ越しを完了した。 輸送中、フェンスや柱との間はわずか1~2インチ(2.5~5cm)しかない。ニッケル氏は「見物人にとってはハラハラする場面かもしれませんが、私たちにとっては日常です」と話している。
山火事と戦って60年
森林消火機に改造されたマーティン・マーズは、過去60年にわたり米国のカリフォルニア州からカナダのブリティッシュ・コロンビア州の沿岸沿いの森林火災と戦ってきた。 7200ガロン(2万7255リットル)のタンクと引き込み式のピック・スクープを備え、水面を滑走することで水をくみ上げる仕組みだ。37トンの水を22秒で機内に取り込み、最大で4エーカーの範囲に散水することが可能だ。 ただ、近年の森林火災ではより機動力に優れた小型機が投入され、マーティン・マーズのような大型機はあまり使用されなくなった。 現存するマーティン・マーズは2機のみで、今回輸送されたのは2015年に退役した「ハワイ・マーズ」。 退役後、コールソン・アビエーションが整備し、2024年8月11日にバンクーバー島のスプロート湖からビクトリア空港まで、カナダ軍のアクロバットチーム「スノーバード」のエスコートでラストフライトを行なった。その後、4900SFに搭載されてBC航空博物館に向かった。