YOASOBIのヒットは「第2次ジャポニスム」到来を告げるのか?
再び「ジャポニスム」!?
4月16日公開「知らないのは日本人だけなのでは、実は日本の評価は『世界一』、世界のマネーが日本に向かってくるぞ!?」と述べた。 実際、前記記事2ページ目「知らないのは日本人だけ?」で述べたように、日本政府観光局 昨年10月4日「米旅行雑誌の『世界で最も魅力的な国ランキング』で日本が第1位に選出!」やIpsos 昨年11月14日「世界60カ国中日本が国家ブランドランキング1位に初選出」と伝えられる。 元々日本文化は素晴らしいのだが、その事実に世界が気が付いたことが「ビジネス=収益化」において極めて重要である。いくら優れた商品でも「誰も知らなければ売れない」のは明らかだ。「暗黙知」(参照:2019年8月23日公開「『知識」は『暗黙知』」5ページ目)の素晴らしさと対照的な、日本の「知らしめる力」の弱さはよく論じられるところである。 だから、この「知らしめる」部分においては、「非ガラパゴス=非日本文化」的な手法をとる必要がある。 例えば、かつて日本が西洋から注目された「ジャポニスム」が多くを教えてくれる。 刀剣ワールド「浮世絵とジャポニスム」で述べられているように、マネ、ゴッホ、モネなどが浮世絵の影響を受けたことはよく知られているであろう。 このジャポニスムの主要なきっかけの一つが、昨年8月5日公開「万博もオリンピックも20世紀の遺物、大阪万博は開催すべきなのか? そしてパリ・オリンピックも?」3ページ目「万博の輝かしい歴史」で述べた、「日本からの出品」である。江戸時代の「鎖国」によって磨かれた日本の高度な文化が、(19世紀当時は活況であった)西洋式の博覧会によって世界に知らされ「衝撃」を与えたのだ。 そして現在、「第2次ジャポニスム」とも言うべき現象が起こっているように思える。
シンプルな米国文化から広がりのある日本文化へ
戦後世界は「米国文化」に圧倒された。日本も例外では無い。主要な原因の一つとして、戦後一時期は「世界のGDPの半分を生み出す」と言われた米国の経済的豊かさがあった。 5月26日公開「経済的繁栄は、ネットは、人々を『幸福』にしたか? 幸せを感じるのは人間の心だ」で述べたように、経済的豊かさは「精神文化」にも大きな影響を与える。経済的に豊かな米国の文化が世界のあこがれの的になったのは当然といえよう。 米国の映画やテレビ番組に登場していた、プール付きで大型冷蔵庫などの家電製品にあふれる米国の「一般家庭」は、冷蔵庫などが「三種の神器」と呼ばれていた時代の日本人にとっては憧れでしかなかった。 その憧れの象徴は、1971年にマクドナルドの日本1号店が、(米国では)大衆的なファストフードにもかかわらず、銀座三越にオープンしたことだ。米国系の飲食チェーンが一気に広がったのも、「豊かな米国」に対するあこがれによる部分が大きい。 だが、米国文化は良くも悪くも「若い」。1400年の歴史によって磨かれた日本文化とは根本的に違う。 米国文化の象徴であるファストフードと、世界に広がりつつある「和食」を比較すればその差は歴然だ。 私だけでなく、国際通の友人が口をそろえて言うのは「東京のように世界各国の洗練された料理を、日常的に食べることができる都市は他には無い」ということである。 日本では、和洋中華、さらにはエスニック料理などの水準の高い店が多数あり、日常的に「多様な味」を楽しんでいるが、海外の国々の多様性は驚くほど少ない。 特に、「料理がまずい」ことで有名な英国や、ファストフードや巨大な一品料理が主流である米国でその傾向が顕著だ。