【パリ五輪男子注目国】フランス代表「大会屈指のツインタワー・ウェンバンヤマ&ゴベア擁する開催国」
7月27日から8月10日にかけて開催される「パリ2024オリンピック競技大会」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会注目の男子ナショナルチームをピックアップした。今回紹介するのは、FIBAランキング9位(7月25日時点)でパリ五輪では日本と同じグループBに所属するフランス代表だ。 文=秋山裕之
■豊富なタレントが揃うも強化試合では苦戦
パリオリンピックの開催国フランスは、昨年の「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」でまさかの18位に終わった。といっても、このチームは2019年のワールドカップで銅メダル、2022年の「FIBAユーロバスケット」で銀メダルを手にしていて、2021年の東京オリンピックでは予選ラウンド初戦でアメリカを下し、決勝ではアメリカ相手に5点差の惜敗で銀メダルを勝ち獲った実績がある。 長年代表チームで主力を務めるルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)、ニコラ・バトゥーム(ロサンゼルス・クリッパーズ)、エバン・フォーニエ(無所属)といったメンバーに、今大会ではNBAで1年目を終えたビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)、ビラル・クリバリー(ワシントン・ウィザーズ)が加わった。 パリ五輪前の強化試合は最初の2戦こそ勝利するも、その後の4試合で全敗。7月22日(現地時間21日)のオーストラリア代表戦では激戦の末に82-83で惜敗したのだが、このチームが掲げるゴールはフランス史上初の金メダル獲得であることに変わりはない。 フランスはグループBでドイツ代表、ブラジル代表、日本代表との予選ラウンドに臨むのだが、開催国が決勝トーナメントへ進出して金メダルへたどり着いたのは1984年(ロサンゼルス大会)、1996年(アトランタ大会)のアメリカしかおらず、そのハードルは高いと言わざるを得ない。
■NBA屈指のビッグマンコンビが君臨
6月末。ヴィンセント・コレHC(ヘッドコーチ)は「我々が自分たちの夢をかなえたいならば、並外れたディフェンスを展開していかなければならない」と、守備面をポイントに挙げていた。 このチーム最大の魅力は、昨シーズンの最優秀守備選手賞(DPOY)に輝いた216センチのゴベア、その投票で新人ながら2位に入り、そろってオールディフェンシブファーストチーム入りした224センチのウェンバンヤマ(今大会は219センチで登録)によるツインタワー。ゴベアがペイントエリアに陣取り、ウイングスパン240センチのウェンバンヤマがカバーに入って相手選手のショットを鮮やかなブロックで仕留めるシーンは圧巻のひとこと。 たとえブロックが記録されなくとも、両選手あるいはどちらかがペイント内にいることでプレッシャーを与えることは容易に想像できる。マッチアップ相手がシュートまで持ち込めない、あるいは打たずにパスへ切り替えることもあるだろう。この2選手を中心としたディフェンスが機能すれば、相手チームにとって脅威となるのは間違いない。 なかでも「僕はこの瞬間を楽しんで、(フランス代表の)ジャージーを着ている時は毎回コートで200パーセントの力を出していく」と先日話していたウェンバンヤマは、オーストラリア戦で17得点12リバウンド8アシストとオールラウンドな活躍。 その試合終盤に逆転をかけて放った3ポイントシュートを落としてしまったものの、20歳の規格外のビッグマンが「心配していない。僕らはあと6日間で準備していくさ」と口にしていたことから、フランスはこの惜敗をモチベーションにして本戦でギアを上げてくると見ていいだろう。