東大100人進学の聖光学院合格した男児の父親が語る「やらなかったこと」
8割できればOK、時間配分を
サピックスの学校別講座では、過去問の全問題に取り組むわけではない。 「1枚の本物のテスト用紙に向かって60分間、算数なら大問1から最後まで、時間配分をきっちりとやりながら、解くのが大切。それは個人に任されていました。試験問題を、60分間マネジメントする練習って、すごい重要なんですよ。例えば問題がちょっと難しいなと思ったら、スキップします。 算数は難しくて、1問あたりの配点が高いから、なかなか合格最低点が取れない。トータルで8割以上取るという考え方をしっかり身につけないと。子どもって体に染み込ませないと、本番は焦って力が出せない。解けない問題があっても大丈夫っていう感覚も、体験しておきましょう」 Sさん親子は、算数や国語を得意にするために、さかのぼること幼稚園時代から対策を始めた。 「中学受験の科目は、算数と国語が重要っていうのはわかっていました。計算が速くないと、時間がかかって見直しの時間もなくなる。そろばんで計算力を高めて、公文でしっかり国語をやる。だけど、公文の国語だけでは足りなくて、語彙や漢字力をつけるため漢検に取り組みました。国語が得意になるためには、読書好きなほうがいい。漢字が得意だと、本が読めるようになるんです。息子が小学2年生のときの愛読書はハリーポッターでした。 また、そろばんをやっていると小学校の計算テストで一番になるんです。漢字テストも満点が取れる。先生から褒められて、自己肯定感が高まる。字を書くことが好きになるように、書道もやりました。体力作りに水泳も。小学校4年生でサピックスに入るまで、続けました」 子どもの選択肢を否定しない。追い込まない。Sさんは中学受験で目指すゴールのために、子どもの将来の目標を明確にしながらも、自己肯定感を高めることを大切にしてきたのだ。 ◇後編「入学してわかった聖光学院のすごさ…東大100人進学の神奈川トップ校が「塾いらず」の理由」では、聖光学院に入ってわかったその魅力を伝える。
なかの かおり(ジャーナリスト)