東大100人進学の聖光学院合格した男児の父親が語る「やらなかったこと」
中学受験は親がすごく試される
もちろん、子どものときになりたいものがないこともある。そういう子どもに無理やり「夢を持て」「目標を持て」というのは難しいが、Sさんのお子さんは様々な体験を通して「医師になりたい」と自ら言うようになった。その目標が中学受験の先にあるから、Sさんの長男はサピックスの辛い勉強も耐えられたという。 「ただ、親がすごく試されます。うちの子は駄目なんじゃないかとイライラしたり、子に当たったりする親もいる。受験は親のメンタルも、やられるんです。 私は、目標は中学受験じゃなくて、医師になることなんだから、第一志望以外の学校に進学しても、医学部には行けるし大丈夫、と日頃から言っていました。聖光に入れなかったら未来は真っ暗ってことはないよと」 たしかに、将来を見据えて頑張り、万が一大きくなったときにもし本人の目標が変わったら、そこで考えればいい。目先のことだけではなく、先の未来を目標とすることで、「目先のことでうまくいかなかったらどうしよう」という不安からは逃れられそうだ。 また、第一志望以外の併願校を、Sさんは否定しなかった。 「聖光はいい学校、第二志望もいい学校。そういうモチベーションがあったから、サピックスで上位にいることができた。サピックスは人数が多く、順位がはっきり出るので、立ち位置がわかりやすい。学校別とかオープンとか受けると、合格可能性が良くないこともあります。山あり谷あり、合格圏外になったときもありました。 合格圏内に比較的いつもいる子でも、なぜってぐらいできなくなる時期もある。問題を見直すと、この分野はあんまりやっていなかったとか、弱点がわかってよかったと、考えられるかどうか。本人にも、そう言ってあげることが重要です」
過去問対策はしっかり
小6の秋以降の過ごし方は、どうだったのだろうか。 「小6の夏休み以降は、志望校別対策が重要になります。学校別の講座で聖光対策が含まれるコースをとる子もいれば、開成対策や筑駒対策が含まれるコースを選ぶ子も。 対策講座の中で過去問をやると、まずアルファ(サピックスの最上級クラス)の子も解けない。受験までそんなにないというのに、入試レベルの問題が解けない。でも焦る必要はないと言われます。 聖光対策の講座と並行して、各自が過去問をやり始めて、筑駒の過去問もやるか、聖光に絞るか悩みました。筑駒と聖光は、問題の傾向が違うんですよ。でも、最高峰の筑駒は、併願して目指したくなる。無理せず、子どもの志望校を中心にして、併願を決めました」 なぜなら、過去問の量が膨大だからだという。Sさんは、「過去問は繰り返しやることです。2回目では解けないかもしれない、でも3回目に解ければいいんですよ」と強調する。 「本当に、過去と同じような問題が出るんです。極端に難しい問題は、全員解けない。だから、努力すればとれるレベルの問題を、いかに落とさないかが重要です。 サピックスに行く日が週3日あったとして、それ以外の日に過去問をやるのでは、間に合わない。10年分はやった方が、いいと思うんです。学校によって、問題の出し方とか傾向が見えてきて、それぞれ3回解くと、10年分で30回やることになる。4教科だから、120回なんです。 さらに併願校は5年分。過去問は毎日やらないと、間に合わない。8月は学校別対策に集中して、その後は過去問対策をスタートさせ、毎日取り組む方がやりやすいと思います」