桑木志帆の最終戦のスウィングをコーチが解説! 安定したフェードボールとパッティングが優勝の決め手【勝者のスウィング】
国内女子ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」で今季3勝目をメジャーで飾った桑木志帆。みんなのゴルフダイジェスト特派記者で桑木志帆のコーチを務める中村修が解説。 メジャー初制覇を遂げた桑木志帆のドライバー後方連続写真 会場となる宮崎CCは左ドッグレッグの多いドローヒッター有利のコース。歴代優勝者を見てもドローヒッターばかりが目につきます。その中で初日に6アンダーで首位に立った桑木選手は、2日目以降も首位を譲らずに完全優勝でメジャー初制覇を遂げました。 勝利の要因を簡潔に言うなら、この一年の成長を感じさせる粘り強いプレーでパーを拾い続けられたこと。特に最終日は、苦しい時間帯も長く、いつ崩れていっても仕方がない展開でしたが、集中力を切らさずに最後の一打まで気を抜かずにプレーできていました。 4日間を通してダブルボギーはなく、ボギーも6個に抑え、1つのイーグルと16個のバーディを奪いました。これまでの2勝した週のスタッツと比較してみると平均パット(1R当たり)が2位だったことが今週の優勝を大きく引き寄せたことが見て取れます。
多くのバーディを奪い、パーセーブもしたパッティングは、アドレスのチェック、ストロークの軌道チェックができる練習用マット、レールの上を転がす練習器具、3mくらいのゴムひもを張ってボールの転がりをチェックする練習法、それにメトロノームを使ってショートパットからロングパットまで同じテンポで打つといった基礎練習を積み重ねてきたことで、パットの三大要素であるライン読み、打ち出し角、ボールスピードのコントロールが向上していました。 パターも前週の「大王製紙エリエールレディス」に最終戦のコウライグリーン用と渡した名前入りのピン「PLDプロトタイプ(ロフト4度)」をその週から投入し、好感触を得ていたので宮崎CCのコウライグリーンのタッチにもとても良く合わせられていました。
スウィング面でいうと、フェードヒッターはカット軌道が強くなり過ぎるとスピン量が多くなり、フェードの曲がり幅も大きくなります。そのためフェアウェイが狭くなるとフェアウェイキープが難しくなり、硬く止まりにくい宮崎CCのコンディションでは、グリーンに球を止めることも難しくなります。しかし、フェアウェイキープできれば、持ち前のスピン量のおかげでしっかりとバーディエリアにボールを止められるメリットもあります。 そこで試合中は大きくスウィングを替えるのではなく、ドライバーでは曲がり幅の少ないフェードをイメージして打つ練習をしたり、カット軌道が強くなるとヘッドが当たる位置にティーを立てて打ってみたり、直ドラでドローを打つ練習などイメージから修正するマイナーチェンジを試していました。 ただ最終日の前半はフェードヒッターには難しい左からのアゲンストや、左横からの風向きが続きスコアを落とすことになりました。疲れも出始めた終盤には右へのミスも出ていたので、オフにはフェードの曲がり幅をしっかりコントロールできるよう、コーチとして進めていきたいと思っています。 桑木選手の3勝をサポートすることができましたが、来季は目標の一つである「全米女子オープン」の舞台で結果を残し、残る海外メジャーへも出場できるようにロレックスランキングも意識しながらのシーズンになるでしょう。 「全米女子オープン」出場資格はロレックスランキング75位以内ですが、11月25日現在のランキングは75位。国内メジャーの優勝でどこまでランキングが上がるか楽しみです。