どうなるCS?“救世主”榎田の今季初勝利で西武が2位に1差…残り6試合を西武4勝2敗、ロッテ3勝3敗で逆転CS出場
続く西川に四球を与えた直後に辻監督が球審に交代を告げ、西口文也投手コーチがマウンドへ向かった。94球を投じて後続を森脇亮介へ託してマウンドを降りる榎田へ、杉田に初安打を喫した直後と同じく万雷の拍手が降り注いできた。ともに「よくやったぞ」というエールが込められていた。 「あそこ(スコアボード)に『0』という数字がありましたけど、今日に関しては正直、それを気にしている場合じゃないというか、もう必死でした。森のリードに対してしっかりと応えることができたし、野手の好守備のおかげで気持ちよく投げられたのかな、と思っています」 自身の快投をこう振り返った榎田は、ベンチで森脇のピッチングを見守った。森脇は中田を空振り三振に仕留めるも、5番・大田泰示に四球を与えてピンチは満塁に広がる。それでも今シーズン途中から急成長を果たし、勝ちパターンのリリーフ陣に食い込んだ28歳の右腕は動じなかった。 6番・渡邉諒をサードゴロに打ち取って日本ハムの反撃を封じ込め、8回を平良海馬、9回をリード・ギャレットと繋いだ。終わってみれば4人で日本ハム打線を散発2安打で零封した。 辻監督が言う。 「これだけ打線が打てなくて、なかなか点を取れない状況で、わずかなリードでも後ろの投手がしのいで勝ちに結びつけてくれる、というところでどうにか今の位置にいると思います」 パ・リーグ連覇を猛打でけん引してきた「山賊打線」が、今シーズンは開幕から振るわない。主砲の山川穂高は8月に痛めた右足首の影響で極度の不振に陥り、登録を抹消されて3年連続のホームラン王を逃すことが決まった。打てないなりの戦法として初回からでも犠打を多用し、高い確率でチャンスが回ってくる4番に栗山を指名。前夜に続いてしぶとく勝ちを拾い、再び貯金を1に増やした。 試合のなかった2位の千葉ロッテマリーンズに1ゲーム差に最接近し、同じく試合のなかった4位の楽天とのゲーム差を1.5に広げた。残されている試合はロッテと西武がともに6、楽天が5というなかで、優勝した福岡ソフトバンクホークスが待つCSへ進出できる2位の座を争う状況に、辻監督は「(ロッテと楽天が)勝つものとして戦うしかないですよ」とこう続けた。