古河電工、30年度にも次世代技術の空孔コア光ケーブル実用化目指す
古河電工は2030年度にも次世代技術である空孔コア光ファイバケーブルの実用化を目指す。光ファイバ構造の抜本的見直しなどで光信号伝送路であるコアを空気層とするもの。情報伝送を高速・低遅延化できるほか、より強い光を送ることが可能。技術を有するメーカーは世界的に限られているという。同社ではIoTデバイスやデータセンター関連分野での活用を想定している。 コアで光の屈折率を下げることで光信号が進む速度を上げることができる。従来の光ファイバはガラス製のコアが使用される。開発中の空孔コア光ファイバはコアを空気層にすることで屈折率を従来の3分の2程度に抑制。空気層のコアに光を閉じ込めるため、コア周囲の部分を多孔構造にするなどの工夫を凝らす。従来ファイバと比べ高速・低遅延での信号伝送が可能になるほか大幅に強い光を入力できる。また通信時の信号のロスを低減できる可能性があることも特長。 シミュレーション技術を生かすなどして伝送損失を抑える最適設計でファイバ中間製品の母材を製作するが、その断面形状を崩さず細い光ファイバに加工するには技術力が必要。同社では特殊なファイバの研究開発で長く培ってきたノウハウを生かして開発を進めている。 技術開発は現在実証実験の段階。今後は特性向上や長尺化に取り組むほか、従来ファイバとの融着接続技術など周辺技術の開発も進めながら実用化を目指す考えだ。 需要を想定するIoTデバイス分野では強い光を入力できる特長を生かして、信号とエネルギーを同時に送る用途に期待。データセンター関連分野では高速伝送化などでの伝送時間短縮による、情報処理量向上などで寄与できるとみている。