世界3位の資源量「地熱発電」…次世代型技術事業化へ、政府が事業者参入促す
政府は再生可能エネルギーの導入拡大に向け、地熱発電の開発支援を強化する。日本には世界3位に相当する2347万キロワット地熱資源量が見込まれる一方、開発・事業化にかかる費用やリスクコントロールの難しさから活用が限られてきた。再生エネの安定確保や地域産業の活性化につながることから、公的支援を通じて事業者の参入を後押しする。 11月中にも取りまとめる総合経済対策の原案で方針を示した。地熱発電の有望な開発地域における調査支援に加え、次世代型地熱技術の事業化に取り組む。開発では経済産業省所管のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が地下構造など調べる地表調査や、地面を掘り温度や圧力を確認する坑井掘削調査を行い結果を事業者に提供。事業者が実施する調査への助成や債務保証も行っている。 こうした事業の予算を拡充するほか、部素材、設備を含めた次世代技術の確立や国内における実証などへの支援を検討する。 政府は2030年度の電源構成のうち1%を地熱発電とする目標を掲げる。国内に150万キロワット規模の導入を目指しているが、24年3月末時点の導入量は65万キロワットにとどまる。 近年は資源開発のコストが上昇していることに加え、長期間調査や掘削を行っても商用可能な規模でエネルギーを採取できる貯留層を発見できない場合がある。開発・事業化には地域の理解を得ながら取り組むことも欠かせない。 課題も多い一方で、地熱発電事業はエネルギーの地産地消や地方での雇用創出などに貢献するとされ、再生エネの安定確保と地域経済発展の両立が見込まれる。石破茂首相は地方創生を内閣の最重要課題の一つに位置付けており、産業化の促進に期待がかかる。