離島出身・22歳女性が自ら「ホームレス」になることで両親に伝えたかったこと【Z世代ネオホームレスの実態】
「お金がない」「家がない」「頼れる人がいない」…そういった事情とは別の理由でホームレス状態になっている、いわば“ネオホームレス”とも呼べる存在の若者が増えているといいます。本記事では、元芸人でYouTube登録者数24万人超えの青柳貴哉氏の著書『Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち』(KADOKAWA/2023年4月発売)より一部抜粋し、著者が出会った、東京でホームレスになるという選択をした女性についてご紹介します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
ホームレスになったことでやっと気持ちが伝わった
なぜホームレスになろうとしたのか、僕が聞きたかったのは家族との関係についてだった。東京に出てきて代々木公園で過ごしたあと、彼女は実家に戻っている。 その時に聞いたのは「毒親だと思っていたけど、その感覚は薄まってきた」という変化だった。あれから1ヶ月半、再び実家に戻ってしまっているが、さらに家族関係に変化はあったのだろうか。 「母親が『私、毒親じゃないよね?』って聞いてくるようになったんです」 おそらく動画を見たのだろう、とアヤリさんは推測し、そんな母親の変化を「体面や世間体を気にしている」と言った。それでも彼女自身、現在の家族関係に明るい兆しを見出している。 「たぶん、東京に出た時期がピークだったんだと思います。あの頃が家族関係は一番悪かった。島に戻ってからは、ケンカが少なくなりました。姉ともお互いに機嫌が悪かったとしても、すぐにケンカを始めるんじゃなくて距離をとったり時間をおいたりできるようになった」 そして、アヤリさんはホームレスになろうとした真意をこんなふうに話した。 「私にきつくあたらないでほしい、優しくなってほしい、そういう変化を家族に求めてたんだと思います。行動を起こさないと分かってくれないと思ったから」 言葉で表現するのが苦手な彼女は、“ホームレスになる”ことで自分の気持ちを家族に伝えようとしたのだ。 ホームレスとは本来、「なりたい」といってなるものではなく、ホームレスにならざるを得ないという状況によってなるものだ。それなのに、アヤリさんはあえて「なりたい」という言葉を使って自分の気持ちを表現しようとしていたのだ。 子どもっぽい反抗心に見えるかもしれないし、切実な心の叫びと捉えることもできるだろう。さまざまな人を巻き込んでしまったが、彼女の強硬手段は功を奏したのかもしれない。
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