離島出身・22歳女性が自ら「ホームレス」になることで両親に伝えたかったこと【Z世代ネオホームレスの実態】
アヤリさんの心境にも変化が
今後のことも聞いてみた。家族関係が改善されつつあっても、東京へ出て一人暮らしをする、という意志は変わっていないようだ。 「一人暮らしできるようになりたいんですよね。結婚も子どもも考えてなくて、彼氏もいらない。前に働いていた研磨の仕事みたいに、少人数で人とあまり関わらずに済む、大きな声を出さなくていい、そういう職場で働きたい。あとは……もう少しだけ、外向的な性格になりたい。人と話せるようになりたい」 外向的な性格になりたい、というのが僕には意外だった。僕はこれまでの取材を通して、内向的な性格をアヤリさん自身分かっていて、それでもある種あきらめているような雰囲気を彼女から感じ取っていたからだ。 外向的でも内向的でも、そこに優劣はない。ただ、外向的な自分に変わりたいと願うなら、人と関わるような仕事や大人数の職場で働いて慣れていくのも1つの手だ。僕がそう言うと、彼女は「人が多いところにいると具合が悪くなっちゃうから無理だと思う」と答えた。 アヤリさんは「ホームレスになる」という覚悟で家を出て、家族関係に変化をもたらした。それと同じように、自分自身を変えるためになんらかのチャレンジをするべき時が、アヤリさんにも訪れるのかもしれない。 ビデオ通話の向こうのアヤリさんは、以前よりもハキハキと受け答えをしていた。言葉に詰まることも少ないし、今の自分の気持ちを伝えようと頑張って話している。家族間のわだかまりが多少は解消されたおかげもあるのだろう。もう一度東京に来るために、今は清掃のアルバイトで貯金しているという。 僕なんかが気づかないうちに、アヤリさんは少しずつ変化しているのだ。 青柳 貴哉 ※本記事は『Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
青柳 貴哉
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