「熱海秘宝館」が初めての大規模リニューアル…「文化としての性」を残す最後の砦になっていた
SNSで拡散OKなフォトエリアも
今回のリニューアルに合わせて、3階には高度経済成長期に隆盛し、現在に至るまでの「秘宝館の歴史」をパネルなどで紹介するエリアを設けた。 日本で唯一、秘宝館をアカデミックに研究してきた東北大学大学院の妙木忍氏が執筆・監修しており、また秘宝館に関する著作もある都築響一氏からも写真提供などの助力を得たという。 「厳密にはリニューアルエリアとはしていませんが、最後に生き残った1館として、非常に大切なエリアだと思っています。熱海秘宝館側からも当初から、『秘宝館の歴史を紹介するエリアを入れて、秘宝館という文化と閉館していった各秘宝館に対し敬意を表し、現行のお客様に伝える努力をしていきたい』とオファーを受けていました。 こちらで妙木先生のコレクションもお借りして展示しています。熱海秘宝館にも“熱海”を題材にした展示品がいくつもありますが、例えば自然豊かな北海道の秘宝館には交尾する動物の展示品などもあり、秘宝館は“観光施設”として地域の特色を打ち出すことを意識されていたことがうかがえます」 ちなみに筆者は2015年にプライベートで熱海秘宝館に立ち寄った経験があるが、当時の写真を見返しても熱海秘宝館に関する写真は1枚も手元に存在しない。 「18歳未満は入館不可のアダルトミュージアムなので、これまでの熱海秘宝館内はすべて写真撮影禁止でした。今回のリニューアルで1階はすべて撮影OKのフロアとして改修しています。リニューアル前はクレーンゲームなどのゲーム機とアダルトグッズショップ、老朽化が進んだ大型展示が入っていました。 現在、旅行の目的として『写真を撮る』ことは欠かせないもののひとつで、観光地としての熱海秘宝館での思い出を残すことができるよう、フォトエリアは絶対に必要だと考えていました。SNSで拡散されても(全年齢に見られても)良い内容を考える必要があり、フォトエリアの企画は非常に苦労しました」