50代なら知っておきたい! 退職金が出たら「住宅ローンの繰り上げ返済」をしたほうがいい?繰り上げ返済の注意点とは?
「退職金で住宅ローンをまとめて返済しよう!」。そう心に決めている人も多いのでは? 払う利息を節約できるだけでなく、完済できれば月々のローン返済がゼロに。メリットしかないような気がするが、実はデメリットもある。マネーコラムニスト・ファイナンシャルプランナーの西山美紀さんが、知っておきたい見極めポイントを教えてくれた。
住宅ローンの繰り上げ返済の「メリット」とは?
「住宅ローンを繰り上げ返済すると、その返済した金額に対しての“利息分が浮く”というメリットがあります。 さらに、ローンが完済できれば、気持ちが一気に楽になるでしょう。もちろん一軒家なら修繕費、マンションなら管理費や修繕積立金などの費用はかかりますが、毎月のローン返済がなくなるだけで、肩の荷が下りたような気分になるもの。 繰り上げ返済は、『利息分が浮くこと』『住居費の負担感がなくなること』のふたつの大きなメリットがあるので、『退職金が出たら完済、もしくは一部繰り上げ返済をしようかな』と考える人も多いかもしれません。でも、繰り上げ返済には、忘れがちな“デメリット”があることにも要注意です!」
注意1:「利息分が浮くメリット」は小さい場合がある
「繰り上げ返済のメリットひとつめの『利息分が浮くこと』は、昔のイメージほどメリットが大きくない可能性があります。 住宅ローンの繰り上げ返済は、『期間短縮タイプ(月々の返済額が変わらないケース)』を選ぶ人が多いです。このケースで繰り上げ返済をすると、返済期間が短くなったり、もしくはなくなったりすることで、本来かかるはずだった利息の支払いを減らすことができます。 この利息分は、住宅ローンの金利が高ければ高いほど多くなり、繰り上げ返済の効果が高くなります。 ですが、ここのところ長らく超低金利が続いていました。私たちの親世代は高い金利の時代だったため、繰り上げ返済の利息削減効果が非常に高かったのですが、最近のような低金利時代に住宅ローンを借りている場合は、その効果が低くなります。 親世代から、『退職金が出たら、住宅ローンを完済するのが当たり前』などという話を聞いても、実はメリットの大きさが異なるのです。 仮に1.0%のローン金利で借りている場合、退職金を繰り上げ返済に使わずに、一部を投資に回すなどで1.0%以上の利回りで運用できれば、そのほうがお得といえるかもしれません(ただし、高い利回りを目指そうとすると、それだけリスクの高い投資に手を出すことになるため、十分注意が必要です)。 繰り上げ返済の利息軽減効果は、金利やローン残高などによって大きく変わりますので、実際にどれだけの利息軽減効果があるのか、一度確認してみましょう。金融機関によっては、計算してくれるかもしれません」