GP出場を懸けた「競輪祭」が開幕!ドラマを生む“絶対に注目すべき3選手”を紹介
涙でリベンジ誓った松井宏佑
2023年の競輪祭・決勝で、松井宏佑(32歳・神奈川=113期)が悲願のG1初優勝とGP出場権の獲得を果たせるか、大きな注目を集めていました。 意気込む松井は、南関東ラインの番手。「平成の怪物」と称されるトップレーサー深谷知広(34歳・静岡=96期)の後ろで、まさに鬼に金棒。絶好の位置です。 そして、最終周回バックストレッチ(ゴールまで残り半周)付近で、メイチ駆け(目いっぱいの力走すること)の深谷を抜いて番手捲りを敢行。9選手の先頭に立ち、勝利を確信したその瞬間……。ゴール直前で単騎で追い込んだ眞杉匠(25歳・栃木=113期)が鋭く差し込み、松井はわずかな差で2着に終わりました。 レース後のインタビューで、好条件で優勝を逃した松井は「悔しい、本当に悔しい」と涙を流しました。多くの競輪ファンの記憶に残る涙のシーンです。GP出場権を逃したこと、全力で駆けた深谷との連係で結果を出せなかった自責の念、そして南関の意地を果たせなかった無念。さまざまな感情が交錯する複雑な涙でした。そして、「2024年こそタイトルを取れるよう、イチから頑張る」と誓ったのです。 松井は、これまでもいくつかのピンチを乗り越えてきました。幼少期からスケートに打ち込み、大学ではスピードスケート選手として活躍。 しかし、大学で留年してしまいスケート部も退部。将来に悩む日々を送ります。アルバイトをしながら飲み歩きやパチンコに明け暮れるなか、元競輪選手の居酒屋オーナーと出会いました。これをきっかけに、競輪選手を目指すことを決意。日本競輪学校(日本競輪選手養成所の旧称)を経て、2018年にデビューを果たします。同年11月にはS級へ特別昇級し、そのスピード昇級により一躍注目を集めました。いまでは、紛れもなく南関東を代表する選手の1人です。 その生き方と走りには、どこか人間味がにじむ魅力があります。